第10話 赤き巨星のタイタノア
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く。
その狙いは――機体から脱出中の、ファイター3のパイロットに向けられていた。落下傘で森の中に降りようとしていた少女神官が、その貌を絶望に歪めている。
「――いかん! 脱出中のパイロットが!」
「竜也、援護射撃を――きゃあ!」
「円華ッ!」
それに気づいた円華と竜也は、狙いを変えさせようと牽制射撃に移った。だが、大怪獣は火炎放射の照準を少女に合わせたまま――鋭い眼から、青白い閃光を放ってくる。
予想だにしなかった「第2の武器」に、円華は一瞬反応が遅れ――右翼に被弾してしまった。
(不味い、生身であの火炎放射を浴びたりしたら……!)
エースパイロットである竜也と円華ですら、近寄れない。そんな状況の中、火炎放射の瞬間は刻一刻と迫っていた。恐怖に貌を歪める少女神官を見上げ、威流は唇を噛みしめる。
「い、いやぁあぁ! 誰かぁああ! 神様ぁあ!」
『ファイター3ぃぃいっ!』
そして、仲間達の悲痛な叫びも虚しく――火炎放射の「充填」が、完了してしまった。今にもはち切れそうなほどに唸っている真紅の灼熱が、大怪獣の大顎から溢れ出していく。
『あ、あぁああ……! し、信者……余の、余の信者がぁああ……!』
タイタノアも、自分の信者に迫る「死」を目の当たりにして……地面を掴む手に、力を込める。それだけで大地が抉れ、木々が根ごと掘り返されていた。
(くそッ! どうすることも――ッ!?)
怪獣軍団から地球を救った「救世主」だろうと、今はただの無力な人間。眼前の光景にそれを思い知らされ、威流までもが目を伏せた――
『うわぁあぁあぁ! やめろぉおぉおっ!』
――その時だった。
威流でも円華達でも、空戦艇部隊のものでもない「叫び」が、この戦場を席巻する。
それは……その声の、「正体」は。
「なっ……!?」
「ち……父上!?」
これまで、怯えて逃げることすら出来ずにいたのが、嘘のように。我が身を呈して、信者の盾になる道を選んだ――この星の守り神。
――「主神」タイタノアだった。
『しゅ、主神タイタノアがファイター3の盾に!』
『ああ……! やはり神は、我々を見放してはいなかったんだわ!』
その光景に、威流をはじめとする全員が驚愕していた。
タイタノアの信者である飛行艇部隊の神官達が、恍惚の表情で主神の勇姿を崇める中――彼の実態を知る威流とルクレイテは、信じ難いものを見るような眼で、タイタノアの巨大な背中を見上げている。
(タ、タイタノアが……! 仲間を、庇った……!)
(ち、父上が……!)
誰にも譲れない、最後の矜持。タイタノアにとっての「信者」が、それだったのだろう。自らの臆病さや弱さを知る彼にとって、そんな自分を
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