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赤き巨星のタイタノア
第9話 結集する戦士達
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 ――遡ること、数分。

 地球を発ち、威流が消息を絶った宙域に舞い戻った竜也と円華は――件の惑星で、凄まじい光景を目の当たりにしていた。

「……!? 竜也、あれは……!」
「おいおい、嘘だろ……!」

 エースを撃墜し、自分達を恐怖に陥れた大怪獣。その獰猛な牙が、星を囲うバリアに食らいついていたのだ。
 自分を発見している2機のコスモビートルなど、まるで意に介さず。全てを穿つ「侵略」の象徴は、星の一部すらも食い破ろうとしていた。

「バリアを……喰ってる……!」
「……威流があの星にいるのかはわからねぇが……あの大怪獣がバリアを食い破ってまで欲しがる獲物が、あの先にあるらしいな!」
「もうダメ……破られる!」

 仕掛けるなら、絶好の機会。しかし大怪獣は、コスモビートルのレーザー砲を背に受けても全く反応せず――ついに、そのままバリアを喰い破り、星の中へと進入してしまった。

 その瞬間を目撃した2人は、操縦桿を握りしめ――大怪獣を追うように、星の重力下へと突入して行く。青と黄のコスモビートルが、流星となって異星の血を目指して行った。

「入っていった……! バリアが……!」
「――追うぞ円華! 威流があそこにいるとしたら、今度こそお陀仏だ!」
「えぇ……!」

 目的はただ一つ。威流の救出、ただそれのみ。彼らはかけがえのない仲間との再会を夢見て――長らくベールに包まれていた惑星の中へと、踏み込んで行くのだった。

(威流……! お嬢様……!)

 そして。円華は突入の瞬間、祈るように瞼を閉じる。
 愛する人の帰りを待つ想いが、この異星の地にも届くように――と。

 ◇

 ――同時刻、地球では。

「……」

 日本の首都、東京にて――獅乃咲家の屋敷から、青空に彼方を1人の少女が仰いでいた。その隣に寄り添う母は、そんな娘の横顔を物憂つげに見守っている。

「葵。空ばかり眺めていても、何も変わりはしませんよ」
「お母様……」
「そろそろ部屋に戻りなさい。貴方への縁談の写真が、山積みなのですから」

 ――日向威流が戻らぬ以上、周囲は彼を死んだものと見なす。そして残された葵には、ここぞとばかりに縁談の話が次々と舞い込む。
 彼が行方不明になったと聞いた時から、今の状況になることを予見していた雅は、娘の将来に備えて動き始めていた。例えそれが、娘の幸せを奪うことであるとしても。

「……私は……」
「貴方は獅乃咲の家督を継ぐ義務があります。……いずれは、覚悟を決めねばならぬことですよ」
「わかって……おります」
「……」

 そんな母の思慮を、知ってか知らずか。葵は心ここに在らず、といった表情のままゆっくりと立ち上がる。か弱く、今にも倒れてしまいそうなその背中を、母
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