第6話 赤き虚勢のタイタノア
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けたことがあるのです。当時、先住民族であった巨人族は自らの身体をサイボーグに改造し、戦いを挑みました。彼らは自らの命と引き換えに災厄を斬り払い、この星を守り抜いたのです」
「……」
「そして……最後に生き残った父上が、守り神として今も生き続けている。それが、表向きの伝説です」
――数百年前。この惑星に侵攻してきた怪獣軍団に抗するべく、当時の先住民族であった巨人族は、自らの身体を兵器に改造。サイボーグとなった彼らは、この星の砦として侵略者達に立ち向かった。
そして、長きに渡る死闘の果て。怪獣軍団と機械巨人族の戦いは相討ちに終わり、この星は辛くも平和を取り戻した。今では、その機械巨人族の唯一の生き残りであるタイタノアが、この星の主として祀られている。
――それが、威流が聞かされたこの星の伝説である。
だが、実際は。
「……で、真相は?」
「機械巨人族の中で……父上だけは、怪獣軍団に怯え最後まで戦わなかったのです。当時の機械巨人族は、怪獣軍団と相討ちとなり滅びましたが……この聖域に身を潜め、こうして震えていた父上だけは生き延びました」
「……」
「父は巨人族の中でも、一際強い力を持っていた……そうですが。ご覧の通り、実力とはまるで正反対な臆病神でして。戦いを嫌って萎縮するあまり、動かぬ石像を演じるようになった父は、いつしか守り神として祀られるようになってしまいました」
目の前で情けなく蹲っている姿こそが。この星の人々に祀られる「主神タイタノア」の真実なのである。
それを知ってしまった威流は、落胆した表情でルクレイテの目を見つめる。父譲りの翡翠色の瞳を持つ彼女は、威流の反応を予見していたのか、申し訳なさそうに目を伏せていた。
――過去の侵略戦争を知る人々に、生きる勇気を与えるためには。例え嘘をついてでも、タイタノアを勇敢な神として祀るしかなかったのである。
「……あのさ。娘の君の前で、こう言うのは難なんだけど。……アテになるの?」
「なります。父本人の性格はとんだチキン野郎ですが、力に関しては本物ですから。……そこで貴方の存在が鍵となるのです」
「結構酷い言葉を聞いた気がするけど……ひとまず、それは置いておくとして。オレが鍵って、どういうことなんだ?」
やがて彼女は、気を取り直すように顔を上げると、威流に熱い眼差しを注いだ。そんな娘の様子に、ただならぬものを感じ取ったのか――父であるタイタノアはガバッと立ち上がり、威流を睨み付ける。
『おいヒュウガ・タケル! 貴様ぁ、我が娘ルクレイテに気安く話し掛けるでない! 寿命の短い地球人の分際で――』
「タケル様、光線銃をお借りします」
「え、ちょ」
そんな父に、灸を据えるかのように。ルクレイテは威流のホルスターから光線銃を引き抜き
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