第6話 赤き虚勢のタイタノア
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な面持ちで天を仰ぐ。
地球と変わらない、この星の青空。その彼方では、あの「大怪獣」が今も蠢いている。その事実が生む現象を目の当たりにして、彼は自分達が置かれている状況の厳しさを、改めて実感するのだった。
「そうですね……。奴を倒せば、他の惑星を脅かしている怪獣軍団も勢力を失うでしょう。奴は、怪獣軍団を産み出した『親』ですから」
「親……つまり成体、ということか。……なるほど、道理であんなにデカいわけだ」
「奴らは星の資源を喰らい、あの成体に成長していくのです。早く首魁を討たねば、手が付けられなくなってしまいます」
「そこで、主神タイタノア様のお出まし――ってことか。それなら……」
だが、打つ手ならある。今目の前にいる主神タイタノアの力があれば、大怪獣に勝てるかも知れないのだ。
地球の科学力が生んだ矛――コスモビートルだけでは、恐らくあの強敵を打ち破ることは出来ない。未知の力であろうと、可能であるなら借りるしかないのである。
その一縷の望みに賭けて、威流は巨神像の方に向き直る……のだが。
「……は?」
その巨神像は、大怪獣を倒すと云うタイタノアは――
『お、終わった?』
――尻をこちらに向け、蹲って震えていた。
「……終わったけど」
この光景の意味を今ひとつ飲み込めず、威流は困惑した表情で呟き、その後ろ姿を眺めていた。
それからしばらくの間を置いて、タイタノアは悠然と立ち上がり――先ほどの醜態が嘘のような仁王立ちを見せつける。推定50メートルの巨体が生み出す長い影が、威流達を覆い尽くした。
『――フン。羽虫の如き儚い命しか持たぬ、地球人風情にしては……やるではないか。だが、あんな玩具で得意にならぬことだな。余の力は天を穿ち、宇宙を斬り裂き――』
だが、その後光を浴びた荘厳な姿は――長くは持たなかった。
「タケル様。光線銃を」
「あぁ」
威流は先ほど見た光景の真相を探るべく、ルクレイテに促されるまま光線銃を抜き。その銃口を、タイタノアの眉間に向けた。
『――やめぇえぇえ! やめぇえぇい! やめぇてえぇえ! そんなモノを余に向けるな無礼者ぉおお!』
刹那。タイタノアは情けない声色で泣き喚きながら、再び尻を向けて蹲ってしまった。
その動きで大地が揺れ、激しい振動が聖域に襲い掛かる。木々に留まっていた小鳥達が、蜘蛛の子を散らすように方々へ飛び去っていった。
――その光景を目の当たりにして。威流はなんとも言えない表情で、ルクレイテの方を見遣る。
そんな彼の意を汲み、娘である巫女は観念したような面持ちで、父の「本性」を語るのだった。
「……ルクレイテさん。説明して貰える?」
「……数百年前にも一度、この星は宇宙怪獣の侵略を受
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