第6話 赤き虚勢のタイタノア
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同時に、ルクレイテは「父」との対話を始めた。やはり今の「声」は――この聖域に座している巨神像のものだったのだ。
(……ほ、ほんとに喋り出した……こんなデカい異星人もいるんだな……。いや、神様って異星人なんだろうか……?)
改めて「主神タイタノア」との対面を果たし、威流はその圧倒的な体躯に息を飲む。立ち上がればおそらく――全長50メートルはあるだろう。
あの「大怪獣」に迫るほどの巨体だ。
『……ヒュウガ・タケルとやら。この星の為に戦い、散って行った者達の仇を討った働きは、見事であった。その功績に免じて――余に服従を誓うならば、其方を襲ったあの怪獣を滅ぼし、地球という星に帰してやってもよい。我が力を以てすれば、容易いことよ』
「ほ、本当なのか……?」
そんな彼を見下ろす紅蓮の巨神は、高圧的な言葉遣いで地球の漂流者に「条件」を示す。神と称されるのも頷けてしまうほどの、迫力が込められた声に――威流は冷や汗をかきながら、隣で涼しげな表情を浮かべているルクレイテを見遣った。
「……まぁ、嘘は言っていないと思います。父の力は……一応、本物ですから」
「……?」
だが、タイタノアの言葉を聞いていた彼女は、どこか冷めた様子で「父」を見つめていた。
父であり神である彼の前でありながら、まるで「尊敬」していないその表情に、威流が首を傾げる――その瞬間。
「それってどういう――危ないッ!」
宇宙怪獣達との死闘で培われた第六感が、彼を突き動かした。草原の裏手にある茂みの中から、禍々しい体毛を持つ猟犬のようなモンスターが、ルクレイテの背後に飛び出してきたのである。
その殺気を感知した威流は、咄嗟に光線銃を引き抜きそのモンスターを撃つ。白い閃光を浴びた猟犬は、短い悲鳴を上げると退散し、再び森の中へと逃げてしまった。
『ヒィッ!』
――しかし。そのモンスターとは別の悲鳴が、この聖域に鳴り響く。
(……? なんだ、今の)
その不審な「声」を訝しみつつも、威流はルクレイテの無事を優先すべく彼女に歩み寄る。神代の巫女でも今の急襲は予想外だったのか、頬に冷や汗を伝せていた。
「ふぅッ……怪我はないか?」
「え、えぇ、ありがとうございます。でもまさか、あの獣達まで……」
「この星にも猛獣はいるんだな……。光線銃まで壊れてたら、大変だったぜ」
「……あの獣達は、普段は大人しく滅多に人を襲わないのですが……どうやら、宇宙怪獣の気配を近くに感じ取ったせいで、殺気立ってしまっているようです」
「野生動物のカンってのは、他所の星でも強力なんだな。……ってことは、それだけあの大怪獣が、この星の近くでウロついてるってことか」
やがてルクレイテから、今のモンスターについての話を聞いた威流は、神妙
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