第5話 救世の秘術
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に帰すだけでなく、彼を撃墜したあの「大怪獣」を倒す方法まであると語る彼女の言葉に、威流は思わず目を見張る。
「しかしそれは、貴方のお力添えがなくては決して成り立たない。……貴方自身のためにも、どうか……今一度、我が星に御慈悲を……」
「……」
それを提示した上で。ルクレイテは改めてこの惑星の民を代表し、威流の助力を求めて頭を垂れる。
そんな彼女の姿勢を前に、威流は――怪獣軍団に敗れた先にあった「IF」を垣間見るのだった。
(怪獣軍団に荒らされた星……か。もしかしたら地球も、ここみたいにされていたのかも知れないんだよな)
やがて。彼は何も言わず、ただ静かに己の手を差し出した。友好と協力の証として、握手を求めるように。
そんな威流が示した「意思」に、ルクレイテは感極まった表情を浮かべ、白くか細い手で、威流の逞しい手を取る。
そして――数多の怪獣を撃ち倒し、地球と母星の危機を救った英雄に、直に触れた彼女は。今ある感触を身体の芯まで染み込ませようと、その手を擦り付けていた。
「……」
「……ありがとうございます。救世主たる貴方に、このような無理を強いてしまうのは心苦しい限りですが……あの大怪獣を倒さねば、さらに犠牲者が増えてしまいます。それは我々だけでなく、貴方にとっても……望ましくないことであるはず」
「……どの道、他にアテはないんだ。同じ苦しみを味わわされた者同士、仲良く反撃に出るとしよう」
「……この星の民を代表して。深く、感謝致します」
ルクレイテは名残惜しげに手を離すと、凛々しい面持ちで威流と顔を突き合わせる。戦に敗れた罪を告げた上で、最大の当事者である彼からの赦しを得たことで。彼女はようやく、威流と真正面から向き合うに至ったのだ。
「それで……その秘術ってのは一体なんなんだ? オレは何をしたら……」
「難しいことではありません。ただ、会って頂きたいのです」
「誰と?」
そんな彼女の変化に、微笑を浮かべつつ。威流はルクレイテが話していた「秘術」について問いかける。それに深く頷く彼女は、神妙な面持ちになると――
「我が父――主神タイタノアです」
――その「秘術」の実態を、口にするのだった。
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