第5話 救世の秘術
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により怪獣軍団はこの星を去り、次に地球を目指したのです」
「……」
「戦う力を失い、もはや座して死を待つだけとなった我々より……多くの命と自然に溢れた地球の方が、奴らの目を引いたのでしょう。結果として我々は命拾いしましたが……代わりに、今度は貴方達地球人が、奴らの脅威に晒されてしまった」
ルクレイテは悲痛な面持ちで目を伏せると、踵を返して背を向ける。自分達には合わせる顔も、償う術もないのだと――語るように。
自分達が負けたばかりに、大勢の地球人が犠牲になったと己を責める彼女。その背中を、威流は神妙に見つめていた。
「そんな私達にとって……怪獣達を撃滅し、この星からも地球からも奴らを追い払ってしまわれた貴方という存在は、まさに救世主だったのです。我々は貴方を天の使徒と崇め……奉りました」
「……それでここの人達はみんな、オレを慕っていたのか。だが宇宙怪獣を退治して来れたのは、オレだけの力じゃない。オレ達地球人の戦いを知ってるのなら、君にもわかっているはずだ」
「確かに、地球の軍勢――『地球守備軍』の戦士は、貴方1人ではありません。ですがその中で、先陣を切り我々の仇を討って下さったのは、紛れもなく貴方でした。それに、守備軍の中においても、貴方は英雄だった……違いますか?」
――どうやらルクレイテは自身の超能力により、地球で起きた戦いや地球人の文明について把握しているらしい。
彼女は振り返ると、威流の瞳をじっと見つめる。その目を通して、彼の過去を見通すように。
「……確かに、そう言う人もたくさんいる。だけどみんな、オレを買い被ってるだけさ」
「そう思っているのはこの星から見ても、地球から見ても――きっと、貴方だけですわ」
「……仮に、仮にだ。オレが君達にとっての救世主だとしても、その期待に応えることは……できない。オレのコスモビートルはもう……」
「確かに、貴方が搭乗していた機体は大破しています。我々には傷を癒す力はあっても、あのような機械を修理する技術はありません……」
ルクレイテは自室の窓に歩み寄ると、そこから下を見下ろし――森林の中で眠るコスモビートルの機体に、視線を落とした。赤く塗装された宇宙戦闘機は無惨に両翼をもがれ、原型をとどめぬほどにひしゃげている。
意識が混濁している状態で不時着を敢行し、乗機にこれほどのダメージを受けても、一命を取り留めたのは奇跡と言っていい。だが、彼女達の技術ではコスモビートルの修理はできない。つまり現状のままでは、威流は地球に帰れないことになる。
「……ですが。我が一族の秘術を持ってすれば、あの大怪獣を打ち倒し――貴方を地球に帰すことも可能なのです」
「な、なに……!?」
――しかし。ルクレイテはその現状を打ち破る手段を、すでに考えていた。威流を地球
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