第4話 残された思い出
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だまだ子供です。正式に貴方と結ばれる日までは、こういったことは謹んで頂かなくては」
「……あはは……」
16歳とは思えないほどの妖艶な身体に、思わず息を飲んでしまった。幼い頃から知っている、妹のような娘に。……そんな自分の節操のなさを恥じるように、威流は頭を掻く。
「……でも、雅先生も口が軽いですよ。葵には黙っとくつもりだったのに」
「そろそろあの子も、祝言の日を意識する年頃ですから。貴方の任務について、よく知っておく必要があります」
「……」
そんな彼を見つめる雅の眼は、次第に「厳しさ」から「優しさ」へと、その色を変えていく。彼女も、1週間後に控えた特別任務の件で気を揉んでいるのだ。
「……かつてない危険な任務、となりますね」
「でかい怪獣ってことは、それだけ的も大きいということ。……やりようならあります」
「えぇ……私も、そう願います」
そんな彼女に対し、威流は誤魔化しの笑みではなく、真剣な面持ちでそう答えてみせる。
――だが、雅の表情に滲む曇りは、晴れない。守備軍の高官であり、歴戦の武官でもある彼女は、威流以上に理解しているからだ。今回の任務は、これまでの戦いとは桁違いに危険なのだと。
「……必ず。無事に帰って来てくださると」
「はは、なんですか雅先生まで。……大丈夫ですよ。任務が終われば、その足ですぐにここに帰って来ます」
「えぇ……あの子と2人で、待っていますからね」
武家の者としての「第六感」が告げる、不穏な未来。それを勇ましく笑い飛ばす威流の横顔を、彼女は物憂つげに見つめていた。
「……」
――そして、それから1週間後。
威流は調査宙域に出没した「大怪獣」の火炎放射により、自機を撃破され行方不明となった。
彼女の懸念は、予想し得る最悪の形で――実現してしまったのである。
だが。彼女は、威流が消息を絶ってから2週間が過ぎた今も、彼の戦死を認めずにいた。
上層部が「民衆に事態を悟られないためにも、早々に葬儀を挙げるべき」と主張する中で――彼女はただ1人、高官の身でありながら威流の死亡認定に反対し続けている。
――それもまた。数多の死線を潜り抜けてきた武人だけが持つ、「第六感」に基づく姿勢であった。
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