第3話 神代の巫女
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う行かれるのですか? 救世主様はお目覚めになられたばかりですのに……」
「……ルクレイテ様の元へお連れするのが、至上命令です。何か不都合でもあるのですか?」
「い、いえ全く! その通りです、失礼しました!」
そんな彼女が「ルクレイテ」と呼ばれる者のところへ威流を案内しようとする中。周囲の女性達が騒ぎ立てるが――「神官長」と称される彼女のひと睨みにより、一瞬で萎縮してしまう。
「……さぁ、どうぞこちらへ」
「あ、あぁ……」
そんな彼女の眼力に、妹分の許嫁が持っていた気迫を重ねて。威流は彼女の後ろに続くように、この「祭壇」を後にするのだった。
◇
――石畳が敷かれた神殿の廊下。その道を歩みながら、神官長は背を向けたまま静かに口を開く。彼女は道中、威流にこの星の文明を語っていた。
「……先ほどは、神官達が大変失礼しました。後できつく灸を据えて置きますゆえ、何卒ご容赦を」
「いや……いいよ、別に。事情は全くわからないが……助けてくれたのは間違いないみたいだしな」
「寛大な御心に、感謝致します」
どうやらあの女性達は、この神殿に仕える「神官」であるらしい。通りがかった庭にも、数人の同じ格好の女性達の姿が伺える。
――これらの状況から威流は、自分が見知らぬ惑星に不時着している事実に辿り着いていた。それだけに、地球に近しい文明を持っている彼女達に驚嘆しているのである。
(光線銃もそのまま……か。それだけ信頼されてるのか、歯牙にも掛けられていないのか、そもそも銃というものを知らないのか……)
だが、まだこの星のことについてはわからないことばかりであり。場合によっては、地球に帰れないことも覚悟せねばならない。
その可能性に、冷や汗をかきつつ。威流は一つでも多くの情報を得るべく、神官長に問い掛ける。
「……でも、君達のことも出来ればちゃんと知りたいんだ。そのルクレイテっていう人に会ったら、聞かせてもらえるんだろう?」
「えぇ、もちろんです。――こちらが、ルクレイテ様のおわす部屋ですわ」
そんな彼の意を汲むように、頷きつつ。神官長は突き当たりにある大きな扉へ彼を導いた。
蔦に絡まれ、苔に塗れながらも、荘厳な装飾を保ち続けているその扉を前に――威流は息を飲む。これまでもそうだったが、この先はそれ以上に「未知の領域」なのだから。
(……この星を司る神の娘にして、その審判を代行する巫女……か。事実上、この星の最高権力者ってことだよな)
「ルクレイテ様。我らの救世主様がお目覚めになりました。今、こちらにおわします」
やがて。その扉を叩き、神官長が声を掛ける瞬間。
「――わかりました。お通しなさい」
「畏まりました」
頭の中――ではなく、扉の向こうから、あ
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