教え
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振りに出ると、今度はバットに当たり、バックネットに直撃する。
「すごいね、君」
「ありがとうございます」
捕手から褒められると軽く会釈して答えまた投手に向き直る。その真剣な眼差しを見ると、捕手は徳川が何を狙ってこのシートバッティングを提案したかすぐにわかった。
(なら次はこいつを見せてやろう)
そのサインを見て投手はうなずきそれを投じる。穂乃果は前の2球と同じタイミングで振りに出ると腰砕けになる。徳川の投げたボールはそれまでよりも遅く、穂乃果のスイングが終わってからミットへと収まった。
「チェンジアップか・・・いつの間に・・・」
高校時代は持っていなかった球種に思わず目を見開く。三振に終わった穂乃果はベンチに帰ってくると、嬉しそうに今見た球を語る。
「すごいよみんな!!あんなに速い球初めて見たよ!!それに最後の球もストレートと勘違いしちゃうくらいフォームが一緒でさ!!」
「穂乃果、よくそんな楽しそうにいられますね」
「そうニャ!!あんなの打てるわけないニャ!」
穂乃果と正反対の反応をしていたナインが彼女にそう問いかけると、彼女は首を傾げこう解答した。
「確かにそうだけど・・・でもそう思ってたらツバサさんだって打てないと思うんだ」
「「「「「え?」」」」」
「ツバサさんのボールもすごかったよね?それに私たちは途中で諦めちゃった・・・徳川さんはツバサさんよりずっとすごい。でもそれで簡単に諦めたら、ずっと変わらないと思う。きっと徳川さんもそういうことを伝えたくて、あえて全力で投げてると思うんだ」
それを聞くと確かに納得できる。彼女たちは女子野球No.1投手を前に途中で戦う意志を失い、試合が壊れた。徳川はそれを伝えたいのだと考えられなくもない。
それに納得して次の打者の凛が打席に向かう頃、その言葉が1番胸に突き刺さっている男がいた。
(あのことのせいでケガは仕方ない、無理をさせないでリスクを下げようとしている俺に、そんなことはないと伝えたいのか?もっと別にやれることがあると言いたいのか?)
直接口で言う人じゃなかったが、そのせいでいつも大事なことに気付くのが遅れた。そのせいで後悔したこともたくさんあった。今回は絶対に見落とすわけには行かない。
「すみません、俺、球審してもいいですか?」
球審をやっていた那覇電気の監督にそう言うと、彼はそれを譲ろうとしたが捕手から思いがけない提案が成される。
「だったらキャッチャーしろよ。しゃがむのが無理じゃないならだけど」
もっと間近で徳川の気持ちを伝えてやりたいと仲間たちも思った。剛はその提案を受けると防具を着け2年ぶりとなるポジションに着いた。
(ヤバイ、懐かしい)
捕手からサインを教えてもらい徳川へと初球のサ
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