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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―OVERLAP―
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「《ミラクルシンクロフュージョン》を発動! 墓地の《ライフ・ストリーム・ドラゴン》と《スピード・ウォリアー》の力を一つに! 《波動竜騎士 ドラゴエクィテス!》 ――バトル!」

 降臨する切り札とともに三体のモンスターが黒魔術師たちと対峙しあい、後はもう殴るだけだとばかりに攻撃宣言を行う。

「ヘルモス! ドラゴエクィテス! 黒魔術師たちを破壊せよ!」

遊戯LP2,400→1,000

 伝説の騎士と波動竜騎士のニ柱により、遂に王座を守る二対の玉座は破られたことで、王に至る道を阻むものはもう存在しない。息をつかせる暇を与えるなと、二体のモンスターの間をすり抜け《スピード・ウォリアー》が疾走する。

「《スピード・ウォリアー》は召喚したターンのみ、攻撃力は倍となる! ダイレクトアタックだ!」

 自身の効果によって相手のライフポイントを越え、マイフェイバリットモンスターは王に肉薄する。後はもう――届け、届け、と祈るしかない。

「ソニック・エッジ!」

「…………」

 ――王は敗北の瞬間まで何も語ることはなかった。ただ、どこか優しげな表情で微笑んでいたのみで。

デュエルシミュレーターLP1,000→0

「……ハァ…………」

「大丈夫か!」

 ARデュエルシミュレーターの電源が落ちるとともに、場所はバトルシティの決勝の場となった決闘塔ではなく、データを取るための機材が置かれた三沢の研究室へと戻っていく。デュエル後の疲れについつい尻餅をついて座り込んでしまうと、隣の部屋から様子をチェックしていた三沢が血相を変えて駆け込んでくる。

「ああ、大丈夫だ……疲れただけ」

「ならいいが……相手が相手だったからな」

「いや……やっぱり相手は、ただのデュエルシミュレーターだったよ」

 三沢に手を借りながら立ち上がると、今しがたまで激闘を繰り広げていた、仮初めのデュエルキングを想う。プログラムを越えて神のカードまでも現出させてみせた敵だったが、決してアレはデュエルキングなどではなかったと。例えるならば半身がないような、そんな言い様のない違和感を感じざるを得なかった。

「でもそれは、俺にも【機械戦士】にも、まだまだ先があるってことだろ?」

「デュエルはまだまだ進化する、か……どう思う、遊矢?」

「どう思うも何も――」

 今回テストしたARデュエルやデュエルシミュレーターのように、デュエル自体が進化することもあれば、その度に俺も機械戦士たちも進化していく。例えばリンク召喚もその一例であり、三沢もそう連想したのか、答えが分かりきった問いを投げかけてくる。デュエルディスクに差し込まれたままの機械戦士デッキをチラリと見ながら、愚問だとばかりにニヤリと三沢へ言葉を返す。

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