第三章
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「だからね」
「はい、ここはですね」
「本当に頑張ってね」
こう美奈代に言うのだった。
「そうしてね」
「わかりました、それじゃあ」
「岡本ちゃんも今必死だから」
必死で頑張っているからだというのだ。
「他のお客さんでね」
「何か今日は随分と」
「お客さん多いね」
「今日は平日で明日も休日なのに」
「それでもね」
「多いね、こうした日もあるんだね」
店長の口調はしみじみとしたものになっていた。
「いや、本当にね」
「そうですね、それじゃあ」
「うん、とにかくね」
「今はですね」
「頑張りどころだよ、じゃあ今度は」
「フライドポテトお願いします」
「わかったよ」
店長は今度はそちらを揚げだした、そして美奈代は酒を作ってもいた、とにかくこの日は大忙しだった。
それでようやく団体客達も他の客達も帰って閉店時間になってだ、美奈代は掃除をしつつこう言った。
「今日は嵐だったわね」
「はい」
共に掃除をしている岡本も同じ考えだった、見れば美奈代よりも背が高く顔の彫が深くスタイルはいいが肩幅が広く逞しい感じである。
「何ていいますか」
「団体客が来ててね」
「お客さんも多くて」
「しかもね」
「どのお客さんも飲んで食べてで」
「凄かったわね」
「今日平日で明日も平日なのに」
岡本も美奈代と同じことを言った。
「それがですね」
「今日は多かったわね、本当に」
「こんな日もあるんですね」
「そうね、それでね」
「どのお部屋も散らかってて」
「食べカスや零したのがね」
ジュースなり酒なりをだ。
「凄かったから」
「お掃除も大変ですね」
「そうよね」
「いや、今日は本当にご苦労さん」
店長も掃除をしつつ話に入って来た。
「お陰で助かったよ」
「そうですよね、今日は」
「君達がいなかったら」
美奈代と岡本が助っ人に来なかったらというのだ。
「本当にどうなっていたかね」
「わからなかったですか」
「そうだったんですか」
「お店が回っていなかったよ」
それこそというのだ。
「絶対にね」
「凄い状況でしたから」
「だからですね」
「これが普通の日だったらね」
明日も平日だったらというのだ。
「こんなに多くなかったけれどね、お客さんも」
「絶対にそうですよね」
「けれどね」
「今日は団体客の人達も予約があって」
「他のお客さんが多かったのは想定していなかったけれど」
「私達二人が入ってですね」
シフトに入っていなかったがだ。
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