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追い込み
第二章

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「ちゃんとした作品にしないとね」
「駄目だから」
「クオリティにも気を使って」
「それでなのよ」
 こう友人達に言うのだった。
「今本当にね」
「必死に書いてるのね」
「もう毎日殆ど寝ないで」
「コミケに間に合わせる為に」
「そうしてるの」
「そうなの」
 こう言うのだった。
「それで完成させたらね」
「後は刷る」
「そうしてコミケに出す」
「そうするのね」
「通販もネット販売もするから」
 そういったこともするというのだ。
「部費ゲットよ、その為にも描くわ」
「本当に必死ね」
「部費のこともあるから」
「もう寝ずに頑張ってる」
「そうしてるってことね」
「そういうことよ、何とかやって」
 そしてと言うのだった。
「それから寝るわ」
「つまりそれまで寝られない」
「まだっまだ」
「そういうことね」
「そう、終わるまではね」
 こう言ってだ、百合は栄養ドリンクと缶コーヒーを飲んで授業に向かった。授業にも真面目なタイプなので寝るつもりはなかったからだ。そして。
 昼休みは食事を手早く済ませて部室に入ってそこで描き放課後もだった、とにかく必死に描いていた。
 そうして部活が終わる時にだ、部長に言った。
「何とかです」
「締め切りにはだね」
「間に合わせます」
 こう言うのだった、自分も描いていて疲労が顔に出ている部長に。
「そうしますので」
「僕もだよ、何とかね」
「締め切りまではですね」
「描いてね」
 そうしてというのだ。
「コミケに間に合わせるから」
「そうしましょう」
「今皆頑張ってるんだ」
 部員達全員がというのだ。
「とにかく今は辛くてもね」
「それでもですね」
「締め切りを間に合わせよう、そして」
「作品のクオリティもですね」
「維持して」
 このことも守ってというのだ。
「家でも描こう」
「今日もそうします」
 百合は部長に応えて実際にこの日も家でも執筆をした、夕食と風呂の時以外はとにかく描いてだった。そして。
 何とかだった、百合は脱稿した。その時は朝になろうとしていた。
 少しだけ寝て登校する、だがこの時に妹に死相が浮き出そうな顔で言った。
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