アージェント 〜時の凍りし世界〜
第三章 《氷獄に彷徨う咎人》
舞うは雪、流れるは雲@
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士たるヴォルケンリッターが散開、位置につく。
「いつでもええで、シグナム。」
『はい、では……』
そしてシグナムが屋敷の扉を叩くその寸前で………
扉の向こうから、幾重もの氷の刃が飛び出した。
暁人はこの二日間、ただ待っていただけでは無かった。もう一つのアジトを確保し、氷雪を逃がし、設備とデータを移転した。
その上でこの屋敷一帯に入念に罠を施し、簡易の要塞と貸し、バレても困らない程度のデータを敢えて残し、ここが本命だと思わせる工作も終えた。
さらには付近一帯の雪中に、サーチャーを埋め込み、はやて達の行動を逐一把握していた。この辺りは普段でも3m以上積雪があるため、まず気付かれない。
そして、はやて達が仕掛けてくるのを察すると、ミミを裏口に回し、自身は正面玄関の真ん中に陣取った。
裏口に回したミミも偽装だ。彼女は戦闘が始まると同時に、氷雪の幻影と共に逃亡を開始する。あたかも今慌てて逃げ出したかの様に偽装するのと、敵戦力の分散が狙いだった。
〈Moving body reaction approach.Number, two.〉
ハボクックがサーチャーの探査情報を伝える。
「……セットアップ。」
何の気負いも無くそう指示を出す。暁人の体を銀色の光が包み、次の瞬間には軍服に似た意匠のバリアジャケットを纏っていた。
「……アイシス・メーカー、シルエット・ソード、並列展開。」
暁人から滲み出る冷気が、氷の剣となって顕現する。一本一本がそら恐ろしい程洗練されたそれが計二十本強、静かに目標を見定める。
〈Target, capturing. Aiming, confirmation.〉
「直線投射……フルバースト!」
展開された氷の刃が、一切の抵抗なくドアを突き破り、その向こうへ殺到した。が、
「……もぬけの殻か、或いは待ち受けているか。どちらかとは思っていたがな。玄関で出迎えとは気遣い痛み入る。」
「……安心しろ、接待の用意は済ませてある。」
平然とやり過ごしたらしいシグナムの皮肉に答えると同時に、一度屋敷の奥へと引き下がる。
「待ちやがれ!!」
そこに直ぐ様追撃に入るヴィータ。屋内での接近戦は騎士としての本領だ。迷う理由は無かった。
「ヴィータ、罠に気を付けろ。」
「分かってる、誰が食らうか!」
シグナムの注意も半分聞いてない様に、暁人を追って奥に進むヴィータ。シグナムはやれやれという思いでそれを見送りつつ、念話ではやてに状況を伝える。
『いました、奴です。』
『こっち
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