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最低で最高なクズ
ウィザード・トーナメント編 前編
「11」
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まま大人たちに任せるわけにもいかないと思った。


点呼と忠告が終わり、俺たちは再び個室に戻ることになった。目に見えぬ恐怖から誰も声を出そうとしない。こんな状況でも喋れるのは俺と暮斗くらいだ。


「これまでも部外者が警備員とかと揉めたりするのは見たことあったけど、生徒を襲うってのは洒落になってないよな。笑えねぇーよ。」

「あぁ、だからこのまま野放しにしとくのはダメだ。俺たちで犯人を見つけて魔警(まけい)(魔法警察)に引き渡す。」

「正気か?」

「正気ではないかもな。けど、やるぞ。」


と言っても俺には手段がない。二人目の被害者を出してはいけないと思いながらも、事件の手掛かりを掴むためには二人目の被害者を出さざるを得ない。


「はぁ.....誠は折れないからなぁ....分かったよ。」
















俺たちは最初に被害者の女子生徒が入院する病院を訪れた。看護士の案内によって彼女が入院中の病室にたどり着き、ドアを開けた。


そこには彼女の知り合いが数名、先に訪れていた。肝心の彼女はというと治療されているとは言え、驚くほど普通に会話できていた。


俺たちは、すまないと思いつつも話している友人たちに一旦席を外してもらって彼女に事情を聞くことにした。


「怪我の状態はどうなんだ?」

「はい。まだ痛みますけど、院長さんからも安静にしておけば十数日ほどで動けるようになると言われました。」

「つまりは、ウィザード・トーナメント終了後にはってことだな。」

「..........はい。」


彼女は俯く。それも仕方ないことだろう。俺達を含めてロンドンに来ている生徒の9割以上はこの大会に出場する選手だ。彼女が棄権するということは同時に、彼女のパートナーも棄権せざるを得ないということになる。


「あの....1つだけよろしいですか?」

「なんだ?」

「私のパートナーの○○ちゃんに、代わりに謝っておいてもらえませんか?」

「あぁ、分かった。あとでちゃんと伝えておく。」


俺と暮斗は彼女からある程度の情報を聞き出して、その場を去った。病室を出て少しすると病室から彼女が泣く声が聞こえた。俺は彼女の泣く声から異常な悔しさを感じ、爪が食い込んで血が出そうになるくらい力強く拳を握った。


彼女の証言から得れたものはほとんど無かった。それこそ無駄足と言ってしまっても良いくらいだ。ただ、気になったのは夜の11時くらいから今朝に至るまでの記憶が一切無いということ。やっぱり俺が出会ったあの時には既に彼女は操られていたわけだ。


操られていたのであれば、同じ言葉を連呼したり、こちらの呼びかけに一切反応しないよ
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