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キコ族の少女
第27話「ユイとスクワラとエリザと……」
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像が衝撃的すぎたのか、自分でもビックリするほど揶揄う言動をとってしまうのだが、それを彼は軽く咎めはするもののノッてくれてコントのようなやり取りをしてくれる。

 なんというか、彼は接しやすいのかもしれない。
 旅団の皆が親戚の叔父叔母みたいなのだとすると、彼は近所の面倒見のいいお兄さんのような感じがするのだ。
 だから、つい軽口がでてしまうし、顔を触られても嫌悪感を全く感じることがなかった。

 ふと、スクワラがノブナガにダブって見えて心がモヤッとする。
 二人は似てるところなど何一つないというのに、ノブナガと一緒に生活していた時にした馬鹿話と雰囲気が似ていたからかもしれない。
 こんな小さなことで昔を思い出すとか、ホームシックなのだろうか……。


「……」
「おい。本当に大丈夫か?」
「……あっ、はい。大丈夫です」
「……ったく、ちょっと付き合え」
「え?きゃっ!?」


 ちょっと懐かしい気持ちに浸っていたら、何を思ったのかスクワラは俺を小脇に抱えると、数匹の犬へ合図を送ると、俺を抱えたまま何処かに向かって歩き始めた。
 テトは先ほど話をするようにしていたクリーム色のゴールデンレトリバーの頭の上に飛び乗って、俺達の後についてくるところを見ると、スクワラから悪意があるわけではないのだろう。

 とはいえ、俺はエミリアを待っているので勝手に何処かに行ってしまうのはマズイ気がする。
 中庭も、待ち合わせ場所から離れている場所だったから余計に心配だ。


「あの。エミリアを待ってるので、あまり遠くには―――」
「今、使いを送ったから問題ねぇよ。用が済んだら送ってやるから、付き合え」


 と言いつつ、脇に抱えて目的地へとドンドン進んでいる以上は、拒否権なんてない気がする。
 半ば強制的に二つ返事を俺の口から出させた彼は、たぶん使用人用だろう小さな厨房へと入っていく。
 すると、中には着物姿の女性がお茶の準備をしている最中であり、俺達の入室に気づいた彼女は男性が幼女を小脇に抱えているという状況に、驚いたかのように目を見開きながらも状況説明を要求してきた。


「スクワラ?……この子は確か……」
「エリザ、悪いが菓子とか貰えねぇか」
「もう……」


 今ので伝わったのか、彼女が戸棚に向かって行くを見届けると、スクワラは俺を近くにあった簡易的なテーブルの前にある椅子に座らせてから、先ほどのエリザと呼ばれた女性が用意していたお茶を勝手に使うと、俺の前にカップを置いた。
 色や香りからたぶん紅茶だろうが、ハチミツが入っているのか独特の甘い匂いが混じっていて、自然と頬が緩んだ。


「気に入ってくれたみたいね」


 紅茶の香りを楽しんでいるところに、エリザが横からショートケーキ
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