暁 〜小説投稿サイト〜
キコ族の少女
第25話「黒歴史の新たな1ページ」
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 金銭面については一括で支払いは済んでいて、前回の怪我で発生した高額な請求金額と比べると、驚くほどに安かった……まあ、あっちは闇医者だから高いのは当然なんだろうけどね。
 で、費用はエミリア持ちで俺がこうしてオシャレ?をしているのは外にいるであろう、有象無象の輩を巻くためである。

 俺の顔をハッキリと見た事のある者は、旅団の元を離れて以降で考えるとエミリアは当然として、担当医と数名の看護師と極少数である。後はフードからチラリと見たことがある程度というものが殆どだろう。
 さらにコートを常に羽織っていたために、こうして女の子らしい格好をして印象をガラリと変えてしまうと、意外と普段の衣装とのギャップから同一人物と特定できないのだそうだ。

 エミリアも顔が知られてはいるが、俺と初めて対面した時の“キャリアウーマン”へと変身?を遂げているので、傍目からには姉妹……下手をすれば親k―――


「ユイちゃん。今、失礼なこと考えてないかな?」
「……気のせいでは?着替えるのでアッチを向いててください」


 女の勘というのは恐ろしい。
 不用意な発言はもとより、思考も注意せねばならないとは……。
 さて、時間がかかり過ぎると手伝うと言いかねないので、素早く着替えるとしよう。
 
 額にうっすらと掻いた冷や汗を拭ってから、俺は病衣へと手をかけた。


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 ガコンという音と共に動き始めたエレベーターの振動を感じつつ、俺は備え付けてある鏡の中にいる鏡に映る女の子を見つめる。
 少し大きいサイズのグレーのロングパーカーを身に着けているために、手は隣に居る“姉”と繋ぐために出ている左手以外は完全に隠れてしまっているし、膝上を隠すほど長い為に穿いているショートパンツが見えないことでワンピースを着ているような状態だ。
 そんなワンピース状態になっているロングパーカーから覗くほっそりとした足は黒いソックスのせいで色白さを大きなロングパーカーのせいで不安になるほどの細さが強調されてしまっている。
 そんな服に着られてるように見えるためにか、綺麗な黒髪の中にある顔は不機嫌そうに頬を膨らませている可愛らしい顔は、大人用の眼帯が右目を覆っているために痛々しく人の目に映ることだろう。

 そんな自己評価をくだしている間に、目的の階に到着したエレベーターは扉を開く。
 それを合図に、俺は“妹”としての演技は開始する……のだが


「予想外です」
「まあ、ああいう所で出待ちしてるような連中なんて、こんなものよ」


 “姉に手を引かれて眼帯をした妹が退院する”という俺達の様子に、場違いな雰囲気を放つ輩共は一瞥するだけで何も言ってこ
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