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キコ族の少女
第24話「第三の念獣」
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然だが、自分の血を飲んだりと吸血鬼紛いな行動をして作り出したとはいえ、具現化した血液は遺物であるのは変わりないのだから体が素直に受け入れるはずがなかった。
 だが、体調不良や意識混濁などノブナガやシャルに多大な迷惑を掛けつつも、徐々に体を慣らしていった結果が今の俺である。
 
 この念獣は制約の要としてだけではなく、単体でも使える能力があるのだが、それは使う時が来た時にでも話すとしよう。


「エミリアの言う通り、水関係の能力が使えます。種族の事は知りませんでしたが……」
「そっか……見せてくれて、ありがとう」


 役目を終えて傷口から体内へと戻っていく血を見ながら、エミリアは少し悲しそうな表情をしながらお礼を言う。はて?今のやり取りの中で悲しくなるような事など起きただろうか?
 感情の変化に思い当たることがないまま彼女を眺めつづけていると、視線に気づいたのか悲しい表情はフッと消え失せてると次に現れたのは笑顔だった……が、なぜだろう。少し怖い。


「ところでさ。これを見せてくれるのなら、別に手首を切らなくても指先に小さく刺し傷をつけるだけでもいいよね?」
「……えっと……」


 ああ、怒っているのを笑顔で隠しているのか。
 それが分かったと同時に、俺の頬は自分でも驚くほどに横へと引き伸ばされることになった。





「……つまりキコ族の人達は集落がなくなった後、散り散りになってしまったということですか?」


 頬を抓るという罰を受けた後、ヒリヒリと痛む頬を擦りながら俺はエミリアに対して種族の事についてアレコレと聞いてみた。
 さっそく自分の能力を見せた効果があったのかは別だが、俺の質問に対して彼女は丁寧に答えてくれたので色々と分かったのだが、彼女は博識ではないと前置きを通り答えられないことも多々あった。
 ならばと博識の者の紹介か、キコ族が住んでいる場所へお邪魔したいと提案したのだが、帰ってきた答えが上記の通りだ。


「そうだね。別の土地へと移った後は、そこに根を下ろして他の人と混じっていって……純血とでも言えばいいのかわからないけど、純粋なキコ族と呼べる人はもういないはずだよ」
「エミリアも?」
「ご先祖様が血を絶やさぬようにって色々と手を尽くしたみたいで、一応は直系らしいよ」
「そうなんですか」
「というか血が濃ければ濃いほど多くの特徴を受け継ぐから、見た感じユイちゃんの方がキコ族に近い存在なんだけど?」
「記憶がないので、何とも……」


 俺の頭を撫でながら黒髪の感触を楽しむエミリアから問いを、言葉を濁すことで言及を拒否する。
 とはいえ、話したいと思っても俺の記憶は前世の男時代のモノだけで何も知らないのだ。そもそも彼女の言う通りだとすれば、血を濃く受け継
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