第23話「第三の―――」
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理解できた俺は、すぐさま危険が迫っているわけではないと分かり一先ずの安堵を得ることができた。
俺を監視しているのはパパラッチどもで、いろいろと話題に富んだ俺をネタにしようと隙を淡々と狙っている中に、溶け込むようにして賞金首の俺を狙う裏の人間がいるらしいが、天空闘技場の医療施設という事で運ばれた選手に狼藉を働こうとする輩対策で警備がしっかりしているため安易に手を出せず、こちらも隙を伺っているとのこと。
要するに、独り歩きなどの不用心な行動をしなければ、一応は退院までという期限つきの安全が確保できているということだ。一応とつけたのは、ノブナガが警備などの目をすり抜けて易々と俺に会いに来たからというのは言うまでもない事である。
「今のところは、治療に専念してて大丈夫だね」
「分かりました」
監視の規模を把握できたのでハクタクを使って監視者の詳細を行いつつ、室内に“目”と“耳”がない事から声量を抑えながらエミリアと会話を続ける。
ゲームをしているという隠れ蓑が必要なくなった為に、ベット端から丸椅子へと移動したことで近くに感じていた彼女の体温や息遣いが消え、少し残念に感じているのは心の奥底へと押し込んで厳重に封印し“黒歴史”としておく。
旅団の皆の一歩踏みとどまった接し方に慣れていたために、それを踏み越えてきた接触に狼狽してしまったが、他者に心を揺り動かされる余裕は、今の俺にはない。
それより一週間も遅れてしまったが、エミリアから聞きたいことがあるのだ。
一人旅に出ている理由の一つである現在の自分の種族について、ハンターになってから本格的に調べようとしていた所に情報源が現れた。
それも、俺に対して好意的に。
この機会を逃す理由はない。
用心のために、ハクタクを数体追加で部屋の周囲を監視させながら、居住まいを正してエミリアへと視線を向けると、俺の変化に気づいた彼女も気持ち表情に真剣さを映しながら俺と視線を合わせてくれる。
「聞きたいことがあります」
「その前に、一つだけ私の質問に答えてもらっても良い?」
「?……はい。どうぞ」
「キコ族について、どれくらいの事を知ってるの?」
今から自分が聞きたいことを逆に聞かれたことで、思わず「へ?」と間抜けな返答をしてしまったが、エミリアはそれを笑う事はせずに、俺の返答を待つ姿勢を崩さない。
ここで無駄に見栄を張ったり、隠し事をしたりしてもいい結果にはならないだろうことは分かるので、シャルから得た一般人レベルの事しか知らないことを伝えると、「やっぱり」と納得の表情をされてしまった。
俺の言動は、知っている者からすれば無知であることを分かるほどに“分かりやすい”のだろうか?
「ユイちゃんが念獣を主体にした戦い方をし
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