第22話「予想外の結果」
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「……んっ」
下腹部の鈍痛で目を覚ました俺は、徐々に開ける視界にテトの顔がドアップで映り込んだことによって思考がフリーズした。そんな俺を気絶でもしたとでも思ったのか、テトは猫パンチならぬキツネリスパンチを眉間に対して連続で打ち込んできた。
一応は爪を立てないように気遣ってはいるものの、それでも微妙に痛いその攻撃に慌てて攻撃を止めるために両手でテトを捕まえようとして、左腕にチクリと痛みを感じたために咄嗟に右手だけで彼を捕まえて視界から退場してもらいつつ、視線を左腕に向ける。
そこには、袖を巻くられた腕に点滴のチューブが刺さっており、自分の腕ながら不健康そうな青白い腕を、“青いなぁ”と間抜けな感想を抱きつつ眺めつづけていた。
コンコンッ
寝起きから幾分か時間が経過しているのに、いまだに思考が霞みがかったままでボーっとしていたので、どれ程の時間が流れたかは分からないが、少し控えめなノックされたことで今更ながらに自分が病室で横になっているのに気づいた。
そして、俺が眠ったままであると思っていたのだろう。俺の返事を待たずに開かれたドアから、ジーンズにTシャツというラフな格好のエミリアが入ってくると、俺が起きていることに気づいて驚きの表情をするも、すぐに安堵の表情を浮かべながら近づいてくる。
「おはよう。ユイちゃん」
「おはよう……ございます……?」
「起きたばかっかり?先生を呼んでおくね」
慣れた仕草で、俺の頭上に合ったのだろうナースコールのボタンを押して、応答してきた看護師へと俺が起きたことを伝える。
それから数分後には中年の医者らしき男性が、小さなカートと女性の看護師を携えて現れると、軽い診察と問診を行い始めたことで、ようやく思考がクリアになるとともに自分の現状が分かってきた。
半ば自滅に近い形でエミリアに敗北した俺は、直後に緊急搬送されたらしい。
当然のことである。制約によって“念獣が破壊された際に込められたオーラに比例した血液を失う”によって出血性ショックを発症して、早急に処置を施さなければ死んでいたという危険な状態であったのだから……。
とはいえ、天空闘技場では対決による流血沙汰など日常茶飯事なので、“それなりの金額を払えば”適切な処置を受けることができるので、俺は事なきを得ている。
ちなみに、選手登録の際の書類を(分かる範囲で)馬鹿正直に書いたことによって、血液型が違うことによる拒絶反応などのアレルギー反応は起こさずに済んだ事を後日知って、正直に書いておいてよかったと安堵することに……。
こうした幸運と同時に、不運も起こった。
まず、適切な処置を受けることができたとはいえ、1週間ほど昏睡状態に陥ってしまったそうだ。また、制約への対処法として
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ