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キコ族の少女
第20話「腕試し-1」
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み上げてきた嘔吐感による変声を上げつつ、場外へ向かって吹き飛ばされる。
 とはいえ、このまま素直に場外へと行くわけにはいかないので、吹き飛んでいく方向へ飛ばしたハクタクを操作して、タイミングよく俺の足へ絡みつかせると、地面へ潜り込ませることで引きずられた足を地へとつけて、二重のブレ―キによって場外に出る前に勢いを殺し切る。
 これと並行して、エミリアからの追撃を防ぐために、散らしていた他のハクタクを地面に潜り込ませて、そこから彼女に向けて飛び出すかのように攻撃を繰り出す。

 だが、足止め……あわよくばダメージを狙ったこの攻撃は、三度目となる“カマイタチ”によって両断されることで苦もなく防がれてしまい。無理やりブレーキを掛けたために、体勢が崩れたままの俺に向かって一直線に向かってくる。
 今回は真正面から向かってくるために見失うことがなかったが、だからと言って体勢が整えられていない俺にとっては、脅威であることは変わりなく。
 破壊される危険性を理解していながらも、速攻で作り出せる最大オーラを籠めたヒスイを連続で生み出し続けつつ俺の前面へ壁のように展開させて、防御の構えを取る。


「かっ……たい!?」
「くっ、ぅぅっ」


 案の定、エミリアの“カマイタチ”が俺のヒスイを両断するために襲い掛かり、数体が真っ二つにされてしまうものの、それなりのオーラを纏って防御の構えを取った10体を超えるヒスイを殲滅するには威力不足のようで、俺に攻撃が届かず。反撃として、生き残ったヒスイによる突撃攻撃を回避するために、斜め後方へ向けて退避していった。
 追いかけて態勢を立て直させる暇を与えないようにしたかったが、念獣の連続顕現と撃破による失血から、こちらが一時的な休息が必要な状況であり、諦めるしかない。
 袖口に仕込んでいた造血剤を口元を拭うフリをしながら飲み込みつつ、先ほどの攻撃の威力から耐えられる強度を持ったヒスイを三体顕現させて、エミリアの攻撃に備えた。

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