第20話「腕試し-1」
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勢いを利用した投げ飛ばしで場外……というテンプレ勝利を続けて、一直線に200階へと到達している。
これでは、何も分からない。と同義である。
初めて会った時の身のこなしからして、実力者であることは疑いようはないが、収穫ゼロとは思わなかった。
というか、あの見た目で【15歳】はサバ読み過ぎ―――いや、この点には触れないで置くとしよう。
「今日は騎士様と一緒じゃないんだね?」
俺が雑念を振り払うかのように軽く頭を振っていると、昨日のスーツ姿から動きやすいジャージ姿になっているエミリアは、テトの姿を探して僅かに視線が動かしながら訊ねてくる。
その姿は「中学生です」と言われても納得でき、「女性はメイクや服で、印象をいくらでも変えられる」と、前世の男友達が言っていたことが間違っていなかったと思えた。
さっきのサバ読み云々は訂正しないとだな。
「ええ。私の実力を知りたいとのことでしたので」
感情を読ませないように口調や声質を注意しながら返答しつつ、いつもの格好をしている俺のコートの隙間から、何体ものハクタクがボトボトと落ちて足元を覆いつくす。
見せつける目的でワザとらしい顕現の仕方をしたが、“隠”を使っているので一般人は当然として、実力のない念能力者には念獣は見えていないだろう。
当然ながら、エミリアにはバッチリ見えているようで、「大量の白蛇を足元に纏わりつかせる9歳の女の子」というインパクトのある光景に、口を僅かに引きつらせた。
「な、なかなか凄い光景だね」
「驚いてもらえて、嬉しいです」
「……可愛くないよ。ユイちゃん」
「エミリアは可愛らしいですね」
軽口による応酬を終えて、開始の構えを取った審判の動きに合わせて俺は軽く体を沈める。
エミリアは、半歩ほど右足を引いて体を斜めにした、どこかで見たような構えをとる。
近接タイプなのか、それとも構えはブラフで遠距離攻撃タイプなのだろうか?いや、カウンタータイプなのかしれない。
戦闘経験がないから、どれが正しいのかわからない。ならば―――
「始め!」
審判の声と同時に右手を胸の前で横一線に振るうと、その軌道上に沿って10体のヒスイを顕現させる。
そして、すぐさま某ロボットアニメのパイロットが言っていた台詞を心の中で叫ぶ。
(行けよ!ファ○グ!)
俺の命令を受信したヒスイは一直線に突撃を開始したかと思えば、途中で握っていた拳を開くかのように一斉に散開して多方面からエミリアへ襲い掛かる。
相手の出方を調べる為の文字通りの“鉄砲玉”ではあるが、隙があれば追撃を駆けるつもりでハクタクを繰り出そうと構えさせた。
しかし、次の瞬間に起きた結果に追
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