第16話「油断大敵、時既に遅し」
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ために、彼女の肩に乗っているキツネのような小動物がこちらを険しい表情で睨んでいるも、それが儚さに拍車をかけてしまっていることに小さな騎士《ナイト》は気付いていないのだろう。
確かに外見だけを見ると、このような場所には似つかない容姿だろう。
だが、彼女はヒソカと言う奇術師との対戦を除いて、全ての試合を蹴り一発だけで勝ち続けている。
対戦相手は弱い者ばかりだったとはいえ、100階まで辿り付ける程度の実力を持った者たちを瞬殺する少女。
その隠された実力を見てみたいと思う武人としての感情がある反面、見る前に勝たなくてはという恐怖に似た感情がカストロの心中で渦巻いていた。
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「お互いベストを尽くして、悔いのない試合をしよう」
「はい」
爛々と闘志を燃やしと、さわやかな笑顔を置いて片方の出場ゲートへ移動するために背を向けて歩いていくカストロに、俺は「ベストを尽くして負けますよ」と意地悪な台詞を小声で零す。
そして、武道家などに見られる強者を求めるような視線から解放されたたために「はふぅ」と小さく肺に溜まった空気を吐き出した。
ヒソカが多少なりとも期待していた人物だ。
天狗になって言わせて貰えれば、修行次第で以前の仕事で殺った変態ロリコン野郎と良い勝負が出来るぐらいになるだろう。
自分で、その芽を摘んでしまうのが少し残念だけどね。
まあ、俺には関係のないことだし。それよりも、どうやって上手く負けるか考えるとしましょうか。
そう思っていた俺の思惑は、この試合で大きく狂うことになってしまった。
それは、一瞬の出来事であった。
開始と同時に“何とか拳法(名前を忘れた)”の構えから接近してくるカストロに、それなりの構えで迎え撃つ俺。
本気の攻撃であろう殺意に似た意思が宿ったカストロの拳が腹に向けて放たれ、それに対して俺は体を傾けることで紙一重で避けようとした。
だが、ここでカストロに対して少なからず油断していた俺に思わぬ事態を飛び込んでくる。
まっすぐに放たれていた拳が、急に腕全体の薙ぎ払い攻撃に変わったのだ。
反応するのに一瞬ほど遅れてしまったがために、回避の手段がなくなり防御をしようかと腕を動かそうとした時、ある考えが閃いた。
いや、このまま攻撃を受けてKOされたフリをすればいいじゃん!
念での防御をしていない状態で攻撃を受けると痛いからと、威力を殺すためにバックステップしようと下半身に力をかけて、衝撃に備える。
そう、衝撃に“だけ”備えたのだ。
ふにゅっ
「ひゃんっ!?」
「!?」
衝撃を抑えるために
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