第16話「油断大敵、時既に遅し」
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人間が少ないからだ。
上ってこようとしても余程の実力ではないと、原作でキルアが言っていたような燻っている連中に蹴落とされてしまう。
そして、そういう輩は対戦相手とギリギリまで接触しないようにするか、事前工作の為に接触してるかの二極に分かれること多い。
そのため、控え室に行くと誰もいなかったり、腹に黒いモノを抱えた対戦相手が一人という状況がずっと続いていた……まあ、どちらであっても試合結果に代わりがないのは言うまでもない。
今回は、こちらを待ち受けているのか人の気配を感じ取りつつも、何気ない動作で控え室に入ると俺の対戦相手がベンチに座っていた。
俺が入室するのに併せて立ち上がった相手は、微笑みを浮かべつつ自己紹介とともに握手を求めてきた。
「対戦相手のカストロだ。よろしく」
「……えと、ユイです」
入った瞬間に気付いていたが、原作キャラの登場だ。
だが残念(?)なことに、モブであることや、旅団関係で既に耐性が付いたために驚いたり興奮せずに握手へ応じつつ挨拶を返す。
逆に、相手が俺のような子供(それも外見年齢一桁の少女)であっても、対等な相手として闘志を燃え上がらせているカストロが新鮮で、少し呆気に取られてしまう。
俺が闘技場で相手にしてきたヒソカ以外の相手は、俺が勝ち続けているというのに“子供”や“女”という理由だけで侮って“蹴り一発”を食らい退場するという哀れな末路を描いていただけに、一人の対戦相手として相対するカストロに対して多少なりとも好感を持ちつつ興味が沸いた。
「……私を、子供扱いしないんですか?」
「当然だろう? 君のこれまでの戦いぶりを見れば子供だと侮った瞬間に、痛い目に遭うからね」
「私が今まで相手にした人は、子供だと侮っていましたよ?」
「それは、彼らが弱いからさ」
おお〜っ、久しぶりに正常(?)な思考の持ち主に会えた。
今までの相手のような奴等に負けるのは癪だなぁと思っていたので、良い意味で予想を裏切ってくれた対戦相手に笑みが自然と漏れた。
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カストロは目の前で、自分の言葉に歳相応の笑みを浮かべて喜んでいる彼女を見ていると、今までの戦歴が嘘なのではないかと思えて仕方なかった。
おそらくだが、彼女の言う侮った者達の中には戦歴等から警戒をしていた者もいただろう。
だが……
顔を含めた全身をフードとコートの中に隠してはいるものの、全体的に線が細くて華奢だというのが動きから分かる。
対話をするために顔を上げた際に見えた顔も、前髪が目――特に右目の大部分が隠れているために、肌の白さと相まって儚いイメージを相手に与えてしまう。
そんなお姫様を守る
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