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キコ族の少女
第13話「ユイ=ハザマ、9歳です」
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 なぜなら……


「オジサン。一つください」
「あいよ! ケチャップとマスタードはどうする?」
「えと、この子に食べさせるので付けなくて大丈夫です」
「そんなら、その小せぇ奴用のを作ってやるぜ?」
「えと、お金そんなにないんで…」
「気にすんな、嬢ちゃんみてぇな可愛い子なら、このくらいサービスしてやるよ!」
「っ!? じょ、冗談はよしてください!」
「がはははっ、顔を赤くしちまってウブな嬢ちゃんだなぁ」
「だ、だから――!」
「ほれ、嬢ちゃんのと小せぇ奴用だ」
「ぅ〜、ありがとう……いくらですか?」
「からかっちまった詫びだ、金はいらねぇよ」
「え、そんなの!」


 数回の押し問答の末、俺は後ろで待っているお客さんの視線に促されて、結局一つ分の金額で俺用とテト用のホットドックを手に入れることになった。

 ラッキーな出来事だと分かっているのだが、今だ心のどこかで男としての感性が残っている今は「かわいい」と評価されても微妙としか言いようがない。とはいえ、可愛いと言われて満更ではないと思っている自分もいるのだが……
 とにかく、得したことは確かなので心の中でオジサンに感謝の言葉をかけると、


「いただきます」


 列に並びながら俺とテトはホットドックを頬張り、予想以上に美味しさに顔を綻ばせた。
 ……若干、生暖かい視線を感じたが、気のせいだ……気のせいに違いない。



――――――――――

――――――――

――――――

――――

――



「天空闘技場へようこそ。こちらに必要事項を記入してください」


 待つこと1時間。
 ジッとしていることに飽きて寝てしまったテトを、服の中で抱きながら待っていた俺の順番がようやく回ってきた。
 営業スマイル3割、ムズ痒くなる笑顔7割な受付の人から渡された用紙を受け取った俺だが、ペンを持って固まってしまった。


 生年月日……どうしよう……?


 この記入欄を見るまで、自分の年齢についてなんて“ここ”に来てから考えたことが無かった。
 適当に書いてもいいのだけど、今後も書くことがあった場合も適当になってしまうから、決めてしまった方がいいかもしれない。

 じゃあ、いつにすればいいのか?
 そう聞かれると、何年がいいのか思い浮かばない。変に見栄を張って大人ぶっても外見年齢が変わるわけがないし、かといって低すぎるのも精神的にキツイものがある。


 うん。どうしよう?


 名前の欄など他の部分を埋めながら、頭では生年月日について思考を巡らせる。
 そして、自分が偽造パスポートを所持していることに気づいた。

 さっそく、バックの中からパスポートを取り出すと生年月日
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