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キコ族の少女
第13話「ユイ=ハザマ、9歳です」
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?)した自分の姿を鏡で確認して、コートの中へテトを潜りこませると、天空闘技場までの定期便としてひっきりなしに出入りしているバスの一つへと乗り込んだ。

 目的地までの移動時間を考えて、バスの後部座席に座り、修行の一環として人間観察をすることにした。
 旅団に関わっている以上は賞金首《ブラックリスト》ハンターに狙われる可能性があるし、それを抜きにしてもコレクターに狙われるかもしれない。相手を見極める技能は必須だ。
 それをわかっているからか、シャルやパクから観察眼を含めた技能の初歩を習っているので経験値を積むためにも乗客相手に試すことにする。

 そして、空港から目的地に近づくにつれて観光客の中に”いかにも”な人間が混ざりはじめてきた。
 身体に傷を大量に持っている人間や、堂々と刀剣を持っている人間、前世ではギネスに乗りそうな巨漢の人間。

 ただ、なんというか……前世の俺だったら周りにいる観光客のように萎縮していたかもしれないが、旅団の皆や仕事で会った敵とかに見慣れてしまっているためか、一般人と同等程度にしか見えない。
 確かに、席に着くまでの動きや体から出ているオーラからして、それなりの力を持っているようだが俺としては違うのは服装と顔つきだけ……みたいな?

 たぶん、このバスに乗っている参加者で100階を越える人間はいないだろうなぁ……と勝手な予想を立てて、「ご愁傷様」と小さく合掌しておいた。
 そして、俺のコートの中にいるテトは可愛らしく前足を手招きするように動かして合掌の真似事をして、俺を萌え殺す。


 グハッ……
 なんという威力だ。
 一撃必殺ではないか……バタッ


 と、漫才のようなことを間に挟みつつ、問題なく天空競技場へ到着した俺を待っていたのは、参加希望者達が作る長蛇の列であった。
 夏と冬にある某祭典といい勝負の列に、思わず溜息が出てしまう。

 並ぶの面倒だなぁと思っていると、コートの下に隠れていたテトが突然俺の首元からヒョコと顔を出すと、クンクンと鼻を鳴らして”ある一点”に視線を向けると、それきり動かなくなった。


「ん?……あ〜、そういうこと」


 テトの視線の先には、肉の焼ける匂いを辺りへと撒き散らすホットドックの出店。
 自分の願いに俺が気付いたと感じたテトは、俺の頬に顔を押し付けて甘える声を出しながら”おねだり”を開始。

 ぐっ、可愛すぎる。
 いやまあ、買ってあげてもいいのだが、そうするとただでさえ寂しい懐がさらに寂しくなる。
 しかし、俺の怪我等のせいで今まで構ってあげられなかったから、これくらいはして上げよう。
 それにどうせここで結構な額を稼ぐつもりだ。


 そんな意気込みと覚悟を持って出店に向ったが、それは見事に空振りに終わった
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