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キコ族の少女
第12話「旅立ち」
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で左腕以外をほぼ完治させ、根回しを済ませた俺は、戻ってきたノブナガの説得へと乗り出した。
 最初は許してくれないだろうとから説得し続けなくてはと覚悟していたのだが、さっきの会話どおりすんなりと承諾してくれてちょっと拍子抜けしてしまうも、認めてくれたことは変わりない。
 嬉々として旅の準備をスタートさせ、年を越えた1998年1月上旬の今日、出発の日となった。

 ノブナガに貰ったフード付きコートを羽織り、パクが選んでくれた数点の服と、少量のお金、あと携帯電話を少し大きめのショルダーバックに入れ、肩にかける。
 そうして準備を整えた俺に、久しぶりの再開となるテトが俺めがけて突進してきたのを、抱きしめるように受け止めた。


「ただいま、テトッ!」


 前回の仕事の関係上、流星街の知り合いに預ってもらったのだが、俺が怪我をして近くのホテルでの療養生活に移ってしまったので約5ヶ月振りの再会である。
 その期間はテトを成長させるのに充分な時間であり、俺の記憶の中にあった姿より一回り大きくなった体に、孫と久しぶりに会った祖父母のような感情が込み上げてきた。
 テトも俺に飛びつくと、喉を鳴らしながら全身を俺にこすり付けてつつ、尻尾を千切れんばかりに振り回して嬉しさを体全部を使って表現する。

 そうして、久しぶりの再開を喜び合った後、テトを定位置である肩に乗せてから見送りに来てくれた人へと向き直る。
 見送ってくれるのは、ノブナガとマチとパクの三人。
 マチにいたっては、わざわざ見送りのためだけに流星街まで戻って来てくれて、嬉しさで少し涙ぐんでしまったのをバレないようにするのに苦労した。


「まあ、それなりに頑張ってこいや」
「うん」
「何かあったら無理せずに電話しな」
「分かった」
「気をつけてね」
「……ありがとう」


 漫画の中のキャラだけど、一緒に過ごし、色々と世話を焼いてくれて、気づけば親愛に似た感情が生まれていた。
 そんな彼らと長い間、離れて暮らすことに今更ながら悲しさが俺の胸を一杯にし、掠れてしまった声を皆が気づかないフリをしてくれたことに、感謝で更に胸が一杯になる。
 こうして俺は旅団の元を離れ、一人で外の世界へと足を向けて歩き出した。


 今回の旅について、天空闘技場へ向う以外に幾つかやっておきたいことがある。
 
 まず、ハンターになることが一つ。
 この世界に来て、結構な月日を過ごしていると自分と同族の存在が少しずつだが確実に気になり始めていた。
 本当に絶滅した種族なのだろうかとか、右目に関することとか、その他にも知りたいことが沢山ある。
 だが、一般的には絶滅したと認知されている種族を調べる以上は、身分不詳では色々とやり辛いし、必ず障害がでるだろうから、それを回
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