『砂漠の蠍』
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ったニャアアアアァァァァァ!」
「ハァ?言ってねぇよぉ。よ〜く思い出せ?俺は『使うかどうかを考えてやる』と言ったんだ。『使わない』なんて一言も言ってねぇ」
確かに、インヴェスは一度も使わないとは言っていない。使うかどうかを考えてやる、と言っただけで彼の心の中では使う事は決定事項だったのだが。手間をかけずに情報を引き出すための方便である。
「じゃあな、クソ猫。『好奇心は猫をも殺す』って昔から言うだろ?お前はやりすぎた」
ハゲスライムに絡み付かれて悶えるカーティスを放置して、インヴェスは部屋を出ていく。
「全身つるっぱげは嫌ニャアアアアァァァァァ!」
という悲惨な悲鳴を聞きながら。1階へと下りたインヴェスはカウンターにいたマスターに金貨の入った袋を手渡した。この男こそ、情報屋の仲介をするここ『梟の巣』の経営者である。
「酒は美味かったかい?」
「あぁ、まぁまぁだ。……あぁそれと、部屋で少し酒をこぼしてな。片付けを頼む」
「……あいよ」
その僅かなやり取りでカーティスに何が起こったかを何となく察し、マスターの男は心の中で合掌した。『梟の巣』を出たインヴェスは背伸びをすると、
「さてさて、害虫退治と行きますかね」
そう呟いて、不敵に嗤った。
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