『砂漠の蠍』
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誇らしく語るようにカーティスに聞かせる。しかしそれはカーティスの恐怖を助長するだけ。まぁ、それがインヴェスの狙いではあるのだが。
「名付けて『ハゲスライム』。前のお仕置きは全身虎刈りの刑だったからな。今回は全身残らず剥ぎ取ってやる」
そう、過去にインヴェスがカーティスにした仕置きとは、彼のオレンジの毛並みを長さがマチマチの虎刈りにする事だった。獣人にとって毛並みを整えるのは最低限のおしゃれであり、インヴェスにやられたせいで当時交際していた女性から手酷くフラれたのを思い出したカーティス。
「どうかそれだけは!どうかそれだけは勘弁して欲しいニャ!欲しい情報は何でも旦那にやるニャ!」
「そうかそうか、なら情報の質でお仕置きは止めてやる事を考えんでもないぜ?」
そう言ってインヴェスはニヤリと再び笑った。
「エルフの情報を売ったのは、『砂漠の蠍』だニャ」
「『砂漠の蠍』ぃ?……たしか、西の砂漠にアジトがあるって噂の盗賊団だったか」
それなりに裏の世界には通じているインヴェスが知らないハズも無い。砂漠の蠍はこのミナガルドの街へ西の大砂漠を越えてやって来る隊商を食い物にしている盗賊団で、金になる物なら何でも盗むと噂の悪辣な奴等だ。しかし、インヴェスには疑問も残る。
「なんでまた蠍共がこの街に?確かこの街の盗賊ギルドとは不可侵条約を結んでたろうが」
「実は、砂漠の向こうの『クウェール王国』のさるお貴族様が、エルフの娘を欲しがって1000万ゴッズの賞金を掛けたらしいのニャ。しかも、見目麗しい女であれば、更なる上乗せ報酬付きで」
「ほぅ?そいつぁ何とも豪気な話だなぁオイ」
1000万ゴッズという金は、小さな領地なら数年分の運営予算に匹敵する金額だ。貴族個人が出すには莫大な額。余程身分の高い者か、相当に金儲けの上手い貴族なのだろう。
「しかし、エルフはこっちの国と友好条約を結んでるから、表のルートじゃ滅多に手に入らんニャ」
「成る程、それで蠍共が目を付けたって訳か……」
「お、俺っちの知ってる情報はこれくらいだニャ。恐らくだけど、売られるから娘さんは無事のハズだニャ」
「そうか、なら……コイツはプレゼントだ」
「へっ?」
そう言ってインヴェスは、カーティスの頭上でハゲスライムの入った試験管を握り潰した。途端にハゲスライムの緑色の粘液がカーティスの身体に纏わり付き、その酸が全身の毛という毛を溶かし始めてシュウシュウと煙が上がる。
「フギャアアアアアァァァァァ!ううう、嘘つきいいいぃぃぃぃぃ!」
「何を悲鳴上げてやがる。ハゲスライムは毛しか喰わないから痛みは無いハズだぞ?」
「おおお、俺っちが情報話したらスライム使わないって言
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