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強欲探偵インヴェスの事件簿
『砂漠の蠍』
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「す、スライム……かニャ?」

「ご名答。流石にそれくらいは知ってるか」

 スライム。どこにでもいてその棲む環境や食性で多様な形態を持つ粘液の塊のようなモンスター。

「こいつはグリーンスライム。まぁ、ちょっとばかり俺様が手を加えてあるがな?」

 実はインヴェス、探偵を始める前には狩人ギルドに属していた事があったのだが、その頃の専門職は【錬金術師】。モンスターや盗賊を狩ったり、傭兵まがいの仕事をする事が多い狩人ギルドにおいて、稀少な存在の製産職ハンターだった。





 冒険者ギルドが受ける依頼は様々で、危険なモンスターの討伐や隊商の護衛、貴族の子弟への戦闘指導等から始まり、中にはモンスターの素材や危険な場所にのみ存在する素材の採集やそれを用いた薬品や魔道具の製作・納品など多岐に渡る。なのでモンスターを狩るハンターだけでなく薬品や魔道具を作れる製産職のハンターも需要が高いのだが、ほとんどのギルド構成員が戦闘職ばかりで、インヴェスのような超が付く一流の製産職など稀少中の稀少な人材だったりした。そんなインヴェスが魔改造を施したスライム……想像するだけで恐ろしい。

「そもそも、グリーンスライムの特徴は知ってるか?カーティス」

「し……知らないニャ!俺っちはハンターじゃなくて情報屋だニャ!」

「そうかそうか、なら教えてやろう。グリーンスライムってのは草食でな。植物性の繊維質なら何でも溶かして食っちまう厄介なモンスターなのさ」

 植物性の繊維質……つまり、綿や麻の布の服など着ていたら服だけ全て溶かされてしまう。その為、グリーンスライムの群体などに女性がつかまるとえらいことになる。主にエロ方面に。想像してみて欲しい。女性が半透明のグリーンのネバネバに絡みつかれ、服が徐々に溶かされて裸体を晒していくのだ。髪等は食べない為、服だけを食べ終えると後に残されるのは粘液まみれの全裸の女性だけである。これはヤバイ。薄い本が厚くなってしまう。なので別名『エロスライム』等と呼ばれて女性冒険者からはゴキブリ並みに嫌われていたりする。

「そ、それがどうしたのかニャ?」

「実は俺様、そのグリーンスライム君の好物を変える事に成功してなぁ。この試験管の中のスライム君の好物は、人や動物の毛だ」

 そう聞いた瞬間、カーティスの顔が真っ白になる。カーティスは猫の獣人である。当然ながらその身体は毛皮のようで、全身毛だらけだ。

「いや〜前に俺様に酔っぱらって絡んできた野郎がいてな?頭に来たんでそいつにこのスライム君をけしかけたんだ。そしたらこのスライム君は食欲旺盛でなぁ。頭の毛は勿論、ワキ毛に脛毛、腕毛にケツ毛、果ては陰毛まで1本残らず綺麗に食べ尽くしてたよ。ありゃあ見事だったなぁ」

 インヴェスは自分の成果を
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