第6話 受け継がれる覚悟
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から自身に起きる、焦熱の洗礼を予期していても。トラメデスという男は、一瞬たりとも怯むことなく――ただ真っ直ぐに、ギルフォードを睨みつけていた。
例え恐怖に怯えても、仮面が隠してくれるというのに。
それでも彼は最後まで、決して――恐れることなく、「痛み」と向き合い続けていた。
――やがて。
「……先任……!」
遥か遠方で起きた爆音を聞き取った、キッド・アーヴィングは――この数十分後に、解析班に救助され強制ログアウトに成功する。
他のプレイヤー達も、この一晩の記憶を奪われつつも、無事にゲームから脱出することができた。
――そう。
ただ1人、数十分に渡り戦い続けていた男を、除いて。
◇
――「RAO」で頻発していた奇妙な事件。その裏にギルフォードの関与が認められた後、FBIは直ちに彼の身柄を確保すべく捜査を展開。
幾重にもばらまかれた偽の情報から真実を探り当て、当時彼が「RAO」にログインするために利用していた場所を発見。そこは――彼の手記が無数にばらまかれ、もぬけの殻と化していた「隠れ家」であった。
その手記から得た情報を元に、ギルフォードが日本へ渡っていると推察したFBIは、日本警察と協力体制を取り現地に捜査官と解析班を派遣することに決めた。
さらにギルフォードが「RAO」での事件当時、ゲーム内からサーバーをハッキングして、解析班の干渉を妨害していたことを踏まえ――彼のハッキングに対抗すべく、過去の事件から彼のサイバーテロに纏わるデータを収集。
VRゲームの参加者を「強制ログアウト」させる強力なプログラムを開発し、彼の次なる暴走に備えた。
それに加え、VRでギルフォードによる洗脳を受けないよう、「RAO」事件から得たデータを基に「対電脳チップ」の開発にも成功した。鎧騎士達に変身させられていたプレイヤー達のように、VR空間でギルフォードに操られないようにするためだ。
隠れ家で発見されたギルフォードの手記によると――次の狙いは伊犂江グループの令嬢・伊犂江優璃。彼女を標的の中心に据えた、無差別サイバーテロを計画している可能性が浮上してきたのだった。
しかし、ギルフォードの正確な足取りは掴めず。事態が終息するまで、彼女の側に24時間体制の警護と捜査官を配置する方針が検討された――のだが。
それは何故か、伊犂江グループ側から拒否されてしまった。伊犂江グループ会長・伊犂江芯の意向によって。
結果、FBIは表立って優璃を警護することは出来ず……一名の捜査官を近辺に潜伏させるのみに留まった。
サイバーテロが起きた場合に備え、その捜査官には対電脳チップを埋め込む改造手術が施され――ギルフォードが行動を起こすまで
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