第6話 受け継がれる覚悟
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つ。
その殺気を感知したギルフォードは咄嗟に振り返るが――防御する暇も与えられず、鋼鉄の拳が彼のベルトに直撃した。
オレンジのコントローラを模したベルトが、激しく点滅してダメージの発生を報せる。
「……!」
「やっぱ――帝王様も、ここは効くんだな」
仮面の奥で口元を緩め、ヴァラクレイザーの手がディアボロトのベルトを掴む。その光景を見下ろしたギルフォードは――
「ぉおお……いい、素晴らしい! 素晴らしいですよあなた! こんな展開は予想外でした!」
――怒るどころか、むしろ狂笑と共に。ヴァラクレイザーの籠手を弾くと、彼を突き倒して胸板を強く踏みつけた。
「ぐうッ!」
「そうですかそうですか……失念しておりましたよ、確かこの『RAO』には仮死薬が実装されているのでしたね! 使用中はあらゆるダメージを通さない……なるほどなるほど、それで私のリアリティ・ペインシステムを欺いたということですか!」
まくし立てながらヴァラクレイザーの胸を踏み躙り、ディアボロトはトラメデスの仮面を覗き込む。貌は隠れているはずなのに、その奥に潜む狂気が赤裸々に滲み出ているようだった。
――この時。ギルフォードは、致命的なミスを犯している。FBIに自身のデータを取られることより、勇者をいたぶるという目先の快楽を優先していたのだ。
「……けっ、教えてくれたんだよ。お前が雑魚扱いしてる、親切なプレイヤーがな。どんな気分だ? 自分の掌にいる奴に、一杯食わされた気分はよ」
「いいですよいいですよ最高ですとも。やはり全てが全て脚本通りではつまらないですからねぇ。大筋を守りつつ、その役者ならではの本来の人格を生かしてこそ……血肉の通った物語は完成するのですから!」
嗤い声と共に、ギルフォードは踏みつける力を徐々に強めていく。すでにその負荷が生む痛みは――トラメデスの精神を、キャパシティを超える寸前にまで追い詰めていた。
「……ぉぁあ、がッ……!」
「あなたは実に、良き悲劇を彩ってくれる。これほどまでに素晴らしい戦いを演出してくださったあなたならば……さぞかし」
――そこへ。追い討ちを掛けるかのように。
『First generation!! Ignition break!!』
「最高の悲劇を……創り出してくださるのでしょうね」
ディアボロトの拳に――灼熱の赤い輝きが、収束していく。
トラメデスの眼に映る、その太陽の如き光は。人間の心を、「痛み」によって失わせるためだけに……身を焦がすような熱気を、滾らせていた。
(……へっ、バカが。肝心な奴を、見逃しやがってよ。お前の負けだぜ、アーティスト気取りが)
だが、それほどの熱に晒されても。これ
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