暁 〜小説投稿サイト〜
Darkness spirits Online
第5話 帝王の影
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 そして――砂煙に阻まれていた、キャンプ地の中は。死屍累々と横たわるプレイヤー達で、埋め尽くされていた。
 全員動き出す気配はなく、呻き声すら聞こえない。これが、先ほどから続いていた静けさの実態だったのだ。

 ――その中に、エリザベスの姿を見つけた瞬間。キッドは勢いよく立ち上がり、血相を変えて言い募る。

「彼らに……彼女に何をしたッ!」
「ご安心ください、命に別状はありませんよ。数時間後には、後遺症もなく目覚めるでしょう。私のデータ収集に協力して頂いたのですから、無闇に命は取りませんよ。……ここで起きていたことは、覚えていないかも知れませんが」
「なんだと……!?」
「……さて。素晴らしい戦いを見せて頂いた礼として、あなた方には栄誉を与えねばなりませんね」

 それほどの気迫を浴びても、ギルフォードは全く怯む様子はなく――涼しい表情のまま、柔らかい口調で語り掛けてきた。

「栄誉、ねぇ。そんなもんはいいから、お縄についてくれねぇかな。有難いネットの神様のお慈悲……ってとこでよ」
「生憎、私は神であるがゆえに人の法には当て嵌らない。私を捕らえて裁こうなど、雲を掴もうとするようなものですよ」
「あっ……そう。話が通じる手合いじゃあ、なさそうだな」

 その不気味さに触れ、冷や汗をかきつつ。トラメデスは冗談交じりに投降を呼び掛けては見たのだが……やはり、交渉は決裂。

「そうですとも。私はゲームマスターであり、あなた方はプレイヤー。そもそも、対等の立場で言葉を交わせるはずもないのです」
「ふざけたことを……!」

 穏やかな声色に反した、その尊大な物言いに、キッドは拳を震わせる。

「仲間達を傷付ける鎧の怪人。その仇敵を、勇敢な兵士達は知恵と勇気で打ち倒す。――だが、物語は、そこで終わりではない」
「……!?」

 ――すると。ギルフォードは再び両手を広げ、演劇を彷彿させる仕草で「物語(ストーリー)」を語り始めた。
 その異様な佇まいに、キッドとトラメデスは目を見張り銃を構える。……だが。

「実は。怪人は、もう1人いたのです」

「あれは……!」
「オイオイ、冗談キツいぜ……」

 彼の懐から現れた、銃――よりも遥かに危険な、「コントローラ状のバックル」を前にして。驚愕の余り、銃口を下ろしてしまった。

「――発動」

 刹那。オレンジ色の長方形である、その「ブレイブドライバー」がギルフォードの腰に装着された。

 そして、彼が「変身」のスイッチとなる言葉を入力する瞬間。

 眩い輝きと共に――老紳士の全身が、オレンジのマントを纏う白銀の「帝王」へと変貌する。

『Set up!! First generation!!』

 バーゴネットの仮面に、狂笑を隠して
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ