第5話 帝王の影
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そして――砂煙に阻まれていた、キャンプ地の中は。死屍累々と横たわるプレイヤー達で、埋め尽くされていた。
全員動き出す気配はなく、呻き声すら聞こえない。これが、先ほどから続いていた静けさの実態だったのだ。
――その中に、エリザベスの姿を見つけた瞬間。キッドは勢いよく立ち上がり、血相を変えて言い募る。
「彼らに……彼女に何をしたッ!」
「ご安心ください、命に別状はありませんよ。数時間後には、後遺症もなく目覚めるでしょう。私のデータ収集に協力して頂いたのですから、無闇に命は取りませんよ。……ここで起きていたことは、覚えていないかも知れませんが」
「なんだと……!?」
「……さて。素晴らしい戦いを見せて頂いた礼として、あなた方には栄誉を与えねばなりませんね」
それほどの気迫を浴びても、ギルフォードは全く怯む様子はなく――涼しい表情のまま、柔らかい口調で語り掛けてきた。
「栄誉、ねぇ。そんなもんはいいから、お縄についてくれねぇかな。有難いネットの神様のお慈悲……ってとこでよ」
「生憎、私は神であるがゆえに人の法には当て嵌らない。私を捕らえて裁こうなど、雲を掴もうとするようなものですよ」
「あっ……そう。話が通じる手合いじゃあ、なさそうだな」
その不気味さに触れ、冷や汗をかきつつ。トラメデスは冗談交じりに投降を呼び掛けては見たのだが……やはり、交渉は決裂。
「そうですとも。私はゲームマスターであり、あなた方はプレイヤー。そもそも、対等の立場で言葉を交わせるはずもないのです」
「ふざけたことを……!」
穏やかな声色に反した、その尊大な物言いに、キッドは拳を震わせる。
「仲間達を傷付ける鎧の怪人。その仇敵を、勇敢な兵士達は知恵と勇気で打ち倒す。――だが、物語は、そこで終わりではない」
「……!?」
――すると。ギルフォードは再び両手を広げ、演劇を彷彿させる仕草で「物語」を語り始めた。
その異様な佇まいに、キッドとトラメデスは目を見張り銃を構える。……だが。
「実は。怪人は、もう1人いたのです」
「あれは……!」
「オイオイ、冗談キツいぜ……」
彼の懐から現れた、銃――よりも遥かに危険な、「コントローラ状のバックル」を前にして。驚愕の余り、銃口を下ろしてしまった。
「――発動」
刹那。オレンジ色の長方形である、その「ブレイブドライバー」がギルフォードの腰に装着された。
そして、彼が「変身」のスイッチとなる言葉を入力する瞬間。
眩い輝きと共に――老紳士の全身が、オレンジのマントを纏う白銀の「帝王」へと変貌する。
『Set up!! First generation!!』
バーゴネットの仮面に、狂笑を隠して
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