暁 〜小説投稿サイト〜
勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
転生2
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 次に倉門が意識を取り戻した時、彼は元の世界の故郷のメモリアルホールにいた。
 自分の葬儀が行われている。
 参列者は、全くいないと思っていたのだが、意外と多く百人は来ているようだった。
 友人は来ておらず、一人手で育ててくれた父と仲の良かった親戚のおばちゃんが葬儀を取り仕切っている。
 他にも、遠縁になっていた親戚の顔が多くみられ、懐かしさを感じる。
 アルバイト先の土建会社の社員や仲間たちも参列してくれていた。
 小綺麗なホールを散策していると、参列者の中にいくらか業界関係者らしき顔ぶれを見つけて驚く。
 エキストラで出演したことのあるドラマ、「諏訪人生食堂」のプロデューサー、朝霧陽介や、ヤクザ者のVシネマ「東北の熊蔵」の監督、伊藤銀次郎、同作品の主演男優、日下部郷力が顔を出していることにまず驚く。
 両方ともネームをロールに乗せてもらえた記念すべき作品だが、取り分けて活躍した覚えはない。
 さらに驚いたのは、「諏訪人生食堂」の三人のヒロインの一人を演じた、アイドルの加賀美響子が来ていることだ。
 加賀美さんとは何度かニアミスしたことはあったが、印象は悪かったはずだ。
 怪訝な顔で業界関係者の顔ぶれを横目に見ながら、自分の遺体が置かれているであろう葬儀会場に足を踏み入れた。

「うわーーーーーーーー!」

 唐突に泣き叫ぶ女性の声に驚いて、そちらをうかがうと、先日振られたはずのキャバ嬢である美南アスカが同僚に肩を抱かれて号泣していた。

「おーよしよし、我慢しないでいいから全部吐き出せー」

「うわあああ、なんで? なんでしんちゃん死んじゃったの!? 私が振ったから!?」

「そうじゃないでしょ、彼が自殺しようとした女の子助けるために誤って落っこちたからでしょ。ちょっと間抜けだけど、あんたのせいじゃないじゃん」

「でも、私が振らなかったらあんなところ行かないもん!!」

「ほらー、鼻水拭いてぇ」

 ポケットティッシュを取り出してアスカの鼻元をぬぐってやっている。

「大体そんなに泣くんだったら告白受ければよかったじゃん!」

「だってさ・・・、だってさ・・・ヒック。私が受けたら養わなきゃってなるじゃん? しんちゃんやさしいからさ? そしたら俳優諦めちゃうじゃん? そう思ったらさ? ううううう・・・」

「はいはい、ほら涙で化粧もボロボロだよ」

「立派な俳優になってほしかったんだもーーーーん! うわーーーーーーー!」

「あーもー、・・・ほら他の人の迷惑になるからあっちいこ? ほら、歩ける?」

「うんん〜・・・うわーーーーーーー!」

 入り口で経緯を眺めていた倉門は拍子抜けした顔でアスカの泣きっぷりを見ていた。
 そんな理由で自分は振られたのか、と。
 それに自
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ