暁 〜小説投稿サイト〜
勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
転生2
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
右にゆすりながら語りかけてきた。

「どうせ死んでるんだし。あっちの世界に行ったらこっちの世界の記憶なんて残ってても意味ないっしょ?」

「あー・・・うんん・・・」

「だったらさ、思い切って忘れちゃいなよ。そんで、あっちの世界で新しい生活謳歌しな。きっとそれがあんたの為だよ」

「そう・・・かな」

「向こうに行って、出来ることもあるんっしょ? だったら、向こうで活躍してきな!」

「おう・・・。ありがとうね。加賀美さん」

「いいっていいって! ね、鎧の人!」

「後押し感謝いたします。では、クラカド氏。次に目覚めるとき、あなたはすべての記憶を失っていることでしょう。そこから始めてください。闘戦士への道を」

「全部忘れて闘戦士とやらになれるのかどうかはなはだわからんが・・・」

「大丈夫です。私にはわかります」

「加賀美もね、応援してるよ」

「うん、ありがとう・・・。それじゃあ、行きますかね・・・」

「ご決断感謝します。では、私の手を握ってください」

「お、おう・・・」

 倉門の魂は、鎧の君の精神体の手を握り締めた。
 それから、鎧の君が厳かに呪文を唱え始める。
 加賀美は頼りなげなシルエットだった倉門の姿が、徐々に明るみを増していくのを、美しいと思いながら眺めていた。
 やがて、光の中に消えたシルエットの残照を求めて、しばらくその場でたたずむ。

「行っちゃったな・・・。今度こそ本当に・・・・・・。はぁ〜、あたしもアストルティアいきたーい!」

 一言、そんなことを口走った後、加賀美響子は葬儀場から一人去っていった。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ