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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
転生2
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で、そのまま戻ることは叶いません。魂のままいつまでもこの世界に固執していても、あなたの魂自体もやがて劣化して精神の残照として数百年間地縛霊としてこの世界に残るでしょうが、あなたという存在は解体されて新たな命の部品として他の魂のかけらと混ぜられて、別の生命体として誕生することになるでしょう。もちろん、人間であるという確証もありません」

「そりゃまぁ、そうでしょうねぇ。というか、なぜそんなに熱心に俺をあっちの世界に誘うんです?」

「あなたが使ったウェディの身体が、闘戦士たる素質を持っているからです。いま、アストルティアでは一人でも多くの闘戦士を欲しているのです」

「一人いなくても変わらないような言い方ですが・・・」

「多いに越したことはない、と言っているのですよ」

「・・・それ、俺いります?」

 倉門と鎧の君が幽霊状態で会話しているとき、加賀美響子はなぜかその方向が気になって彼らがたたずんでいるベンチの方を凝視していた。
 元々、霊感が強いことも売りにしているアイドルであり、自慢ではないが「見える」力もあると思っている。
 加賀美はアイドルらしからぬ眉間にしわを寄せた状態で穴が開くほどに虚空を凝視していた。

「いらない、とは言えない。素質のある者を一人でも多く探すのが、我ら闘戦聖母に使える巫女の役目」

「でも、俺をスカウトする理由にはならないような」

「何を言う。あなたは重傷を負って死んだウェディの身体に憑依しながらそれを酷使して戦いまで出来たほどの素質の持ち主だ」

 困ったように首の後ろを左手でかきながら頭を右に傾けて口の両端をへの字に引き下げる倉門。

「あれなー。あれはあのウェディのポテンシャルが高かっただけで俺が強かったわけじゃないしなぁ」

「あのような格闘スタイルはアストルティアにはありません。何より、どんなに肉体のポテンシャルが高かろうとも、それを生かせるだけの強い魂がなければ無意味なのです」

「あの青年ではダメだったと?」

「彼の魂にはポテンシャルを生かせるだけの力はありませんでした。でも、あなたにはある」

「うーん・・・」

「ねぇ、リクドウ。あんたよね。あんた誰としゃべってんの?」

 二人だけの世界だと思っていた倉門と鎧の君がぴたりと固まる。
 恐る恐るそちらに視線を動かしてみると、明らかに加賀美が二人の顔を覗き込んできていた。

「うわー・・・みえていらっしゃるー?」

「霊感、強いほうなんで」

「うむ。この世界には闘戦士たるに相応しい強い魂の持ち主が多いようだ」

「いやいや、そんな関心の仕方するなよ」

「それよりさ、あんたなんで女子高生にくっついて落っこちてるのよ。女子高生も重軽傷とはいえ助かったのに、あんただけ
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