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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
転生2
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分ではどちらかというと冷めた人間だと思っていたので、多分告白を受けてもらえたとしても俳優を目指すのはやめていなかったと思う。
幽霊状態の倉門の脇を、アスカたちがすり抜けていったとき、背後からハスキーな女性の、小さなつぶやきが聞こえて振り向く。
アイドルの加賀美響子が殺せそうなほど鋭い視線でアスカの背中を追っていた。
「キャバ嬢風情がリクドウの恋人になれるとか思ってたのかよ、厚かましいんだよ!」
リクドウとは、倉門の芸名だ。リクドウシン。売れていればその名でテレビにも出演していたはずの仮の芸名。
もちろん、無名のエキストラだった倉門にしてみれば、ただの妄想だったわけだが。
「・・・あいつのせいか。・・・あんな女の為にリクドウが死んだ?」
いや、俺あなたとそこまで接点ありましたっけ・・・?
倉門は、可愛らしさと美しさの両方を備えた稀代のアイドルの殺意のこもった視線にうすら寒さを感じた。
真夏の撮影中に彼女のヒールが汚れたときに、たまたま持っていたクリーニングセットで磨いてあげたことはあったが、あの時だって倉門に向けていた視線は汚いものを見るような蔑む視線だったはず。
嫌われこそすれ、好意を持たれるようなシチュエーションがあった覚えはない。
小首をかしげていると、倉門が立っている通路から少し離れた休憩用ベンチの並ぶ喫茶スペースに不釣り合いな、銀の甲冑をまとった女性がこちらをうかがっているのに気づいてそちらに近付いていく。
案の定、例の異世界の住人らしく、彼に向かって一つ頷いてから問いかけてきた。
「まさか、新しい体を得たその日に再び死んでしまうとは思っていませんでしたが。どうです? 自分の世界の状況を見て」
女性の声だ。
頭部を完全に覆う兜をかぶっているので表情は見えない。
「どう、と言われましても・・・」
「正直なところ、こうして精神体だけをこちらの世界に飛ばしているのは魔力の消費が激しいので、決断は早くしてほしいのですが」
「決断って、何の・・・?」
「アストルティアに来るのか、この自分のいた世界で新しい命として生まれ変わるのか、ですよ」
うーん、よくわからないことを言われているぞ。と、倉門は腕組をして首を左に傾げて渋い顔をする。
銀の甲冑の彼女は、右手を腰に当てて顎をしゃくるような動作をして言った。
「あなたが使ったウェディの身体ですが、居合わせた僧侶がベホイミで回復したので万全の状態になってはいます。しかし、魂のないまま放っておけばいずれ心臓も止まるしその肉体は必ず滅びを迎えます」
ホールを見渡して参列者の顔ぶれを一つ一つ見ていく。
「あなたは未練があるかもしれませんが、ご承知の通りこの世界の肉体はすでに滅びを迎えていますの
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