暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生と春の花達
第二幕その七
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「どのお花よりもだからね」
「それでも咲いているのは少しの間だけよね、桜って」
 ポリネシアはこのことを指摘しました。
「春の本当に一時期」
「少しだけ咲いて散っていく」
 ダブダブはしみじみとした口調で言いました。
「あんなに咲いている時期が短いお花ってそうないわよ」
「どうして長く咲いていないのかな」
「せめて一月は咲いて欲しい?」
 オシツオサレツはその短い咲いている時期に思うのでした。
「もっとね」
「あれじゃあ短過ぎるよ」
「僕もそう思うよ」
 ジップはオシツオサレツに完全に同意でした。
「もっと長く咲いていればいいのに」
「今だったら一年中咲いている桜を創られない?」
「今の技術ならね」 
 チープサイドの家族はこう言いました。
「それも可能なんじゃ」
「今だったら」
「植物園の設備でも出来るんじゃ」 
 こう言ったのはダブダブでした。
「温室の気温を調節したりして」
「何で日本人そうしないのかな」
 チーチーは人間みたいに腕を組んで考えるお顔になっています。
「あれだけ桜が好きなのにね」
「いつも見たいと思うけれどね」
 老馬もこう考えます、日本人の桜への愛情を見て。
「それでもなのかな」
「何で春の一時期だけ見るのかな」
 最後にトートーが首を傾げさせて言いました。
「一年中見ようとしないのかな」
「それ不思議よね」
「どうにもね」
「どういうことかな」
「日本人は桜を一年中見たくないの?」
「春の一時期だけでいいのかな」
「それもまた日本人なんだ」
 まさにとです、先生は不思議がる皆にお話しました。
「四季のそれぞれを楽しむからね」
「春だけじゃなくて夏も秋も冬も」
「それでなんだ」
「そう、秋の紅葉も冬の雪もそうで」
 そしてというのです。
「夏の海もね」
「全部だね」
「全部楽しむんだね」
「四季のそれぞれを」
「そうしているからなんだ」
「うん、そうしてね」
 そしてというのです。
「桜もね」
「春の一時期だけなんだ」
「これからはじまろうとしているけれど」
「今の一時期だけ楽しんで」
「それで充分だっていうんだね」
「そしてね」
 それにというのです。
「春は桜だけじゃないね」
「あっ、梅も桃もあるしね」
「菊も蒲公英も」
「そうしたお花もあるから」
「そうしたものも楽しむんだね」
「そうしたお花もあって桜の後はね」
 その次のお花はといいますと。
「次は皐があるね」
「ああ、皐」
「そういえばあのお花もあったわ」
「日本にはね」
「あのお花もあったんだ」
「そう、桜が散ったのを寂しく思ってもね」 
 その気持ちは確かにあってもというのです。
「すぐに皐が咲いて、そして梅雨になれば」
「あ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ