口先三寸で神々の黄昏を潰してみる
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議長はメディアでよく見る笑顔で元外務委員長に尋ねる。
元外務委員長も似たような笑みで返した。
「議長ともあろうお方が変なことを。
国の要職についたのだから国のために何かしたかった。
当然でしょう?」
そして、実に俗物っぽい笑顔で小声で本音を漏らす。
「そりゃあ、若干は己のポケットに入れましたけどね。
あいにく私は聖人君子ではありませんので」
「君の思惑はどうであれ、私は私の政権下で功績を立てた者を放逐するほど人でなしではないよ。
幾つかの天下り先を用意した。
好きに持ってゆくといい」
「ありがたく頂戴いたしましょう。
議長。
トリューニヒト最高評議会議長閣下。
帝国はしばらくは混乱するでしょう。
そして、長期的にはこの状況を続けられるならば、この戦争は勝ちます。
だから俗物っぽく、目先の欲に惑いませんように」
多分元外務委員長の本心と悟ったトリューニヒト議長も真顔に戻る。
彼は愚かかもしれないが、利については敏い。
そこから得られる、『戦争終結の英雄』という利に彼はためらうこと無く食いついた。
「私を誰だと思っているんだい?
アムリッツァに反対した男だぞ」
「オリージュ議員!
外務委員長辞任について一言」
「すまない。
たいして話すことは無くてね」
「フェザーン企業からの利益供与疑惑の責任をとったという話が出ていますが?」
「その件については政治論理委員会にてちゃんと説明をしているので、そちらを参照していただきたい」
「フェザーン回廊で発生した一連の戦いについて一言」
「さすがヤン提督ですね。
この空の上に輝いていた『アルテミスの首飾り』は債務支払猶予の代償にフェザーンに供与していたのですが、あれに推進機関をつけて敵艦隊に突っ込ませるなんて常人には思いつきませんよ。
詳しい情報はまだ私も知らないのですが、魔術師ヤンの新たな一ページを個人として祝福します」
「今後どうなるか議員として一言お願いします」
「言ったとおり、詳しい事は分からないので複数の状況を用意して語らせてもらおう。
帝国軍の大敗で宰相ラインハルトが戦死した場合、おそらくは帝国はまた内乱になるだろう。
逆に宰相ラインハルトが戦死しなかったとしても、暫くの間は同盟及びフェザーンへの侵攻は無理だろうね。
勝てばともかく、現状ではイゼルローンとフェザーンという二戦線を自ら作ってしまった。
帝国本土にある程度の護衛戦力を残さないと、民衆が納得しないでしょう」
「議員自身の今後をお願いします」
「とりあえずは、母星シロンに帰ってゆっくり休みたいよ。
そして、今回の勝利を祝うのさ」
「ヤン提督の勝利をですか?」
(
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