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口先三寸で神々の黄昏を潰してみる
口先三寸で神々の黄昏を潰してみる
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か、確認するように外務委員長は呟いた。

「所詮、政治は全て茶番さ。
 その茶番に意味をもたせるのが政治家の仕事ってね」

「帝国に格好の大義名分を与えただけに見えますが?」

「既にフェザーンメディアを使って、帝国には同盟征服後のコストをばらまいている。
 同盟を征服した場合、軍事費の呪縛が無くなった同盟産業の復興で帝国産業が壊滅的打撃を受けるという事をね」

「それを回避するために、帝国は首都をフェザーンに移す。
 経済的合理性を見れば、見事と言いたくなりますが、それだけでないのが人というもの。
 帝都オーディンの貴族層を中心に不満が出ているそうですな。
 それが狙いで?」

 また二人共歩きだす。
 歓声は遠くなっていた。

「この宣言の後、外務委員会を通じてフェザーン経由にて一つの提案を行う。
 ミッターマイヤー・ロイエンタール・オーベンシュタインの三提督あてに、『同盟は宰相ラインハルト死後に伴う内乱に対して仲介する用意がある』とね」

 ラインハルトの独裁体制だからこそ、いまの帝国は強いが同時に脆い。
 それを敵から指摘されたらラインハルトは先陣に出るか後ろに篭もるかの二つに一つの選択肢しか無く、彼の気質から前に出ることは分かっていた。

「同盟艦隊を連れて危機のフェザーンを救う。
 高等弁務官も英雄の仲間入りですか」

「それについては感謝を。
 フェザーンが持つ同盟債権の放棄で英雄になれるのだから、英雄というのは高いものですな」

「それ以上に高いのは時間ですよ。
 ケッセルリンク高等弁務官。
 英雄という品物の代金のおまけにあれを持っていきませんか?」



 皇帝の亡命というのは同盟滅亡のポイント・オブ・ノーリターンと言われていたが、実際には使い方を間違ったジョーカーでしか無かった。
 経済的に見ると同盟とフェザーンに帝国の富が吸い上げられる形は崩れておらず、たとえ皇帝誘拐が無くても帝国は同盟を滅ぼさないと破綻するのが目に見えていたからだ。
 だからこそ、ラインハルトが取りうる最適解を先にばらしてしまう。
 同盟を征服すると自分たちが貧乏になり、フェザーンに遷都するなんて話を今のまだゴールデンバウム帝国の臣民は受け入れられないだろう。
 これこそが最後の、かつ最大のチャンスだ。
 挙句の果てに、ミッターマイヤー・ロイエンタール・オーベンシュタインの三提督を名指しで指名して、ラインハルト死後の後継者が彼らと敵から指摘してやった。
 オーベンシュタインと他将との軋轢はさぞ楽しいものになっているだろう。
 こちらが用意できたのは、

 第一艦隊    ビュコック大将
 第二艦隊    パエッタ中将
 第三艦隊    モートン中将
 第四艦隊    カー
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