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口先三寸で神々の黄昏を潰してみる
口先三寸で神々の黄昏を潰してみる
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をトリューニヒトに垂れ込んだのだ。
 クーデターは未遂で終わり、グリーンヒル大将ら軍中枢の逮捕などで帝国内戦には関与はできないが、消えるはずだった第十一艦隊を救い、フェザーンから多額の資金援助を引き出した。
 第十一艦隊の司令官がドーソン中将になったのには笑ったが。
 とりあえずは一息つけるだろう。



「戦勝おめでとうございます」
「ありがとうございます。
 ルパート・ケッセルリンク高等弁務官殿。
 今回の戦勝でフェザーン企業の株も上がって、自治領主様の顔もほくほくでしょう」

 100年長期国債引き受けの代償に、同盟は社会インフラを始めとした政府資産を民営化してフェザーン企業に委託したのだ。
 その結果、社会インフラは改善したが、貧富の差は広がり辺境星域は不況に喘いでいる。

「イゼルローン要塞の難攻不落ぶりは我々のほうが知っていますからな」
「ですが、適切な援軍を送った同盟の首脳部の指導ぶりも褒めるべきかと」

 ケッセルリンクはヤン提督の査問会について知っているから皮肉をちくり。
 それぐらいで狼狽えるようなら、この職についてはいない。

「第二艦隊を出しましたからな。
 さしたる損害もなく終わってほっとしていますよ。
 さて、貴国からの支援もあって、近く一個艦隊の再建が終了する予定です。
 それに伴い、貴国艦隊と合同訓練を行いたのですがいかがか?」

「こちらとしても、艦隊が張り子の虎である事は望みません。
 フェザーンには、良い返事をという方向で送っておきます」

「これは内々の話でお願いします。
 この艦隊の再建を待ってからになりますが、我が国は密かに貴国と防衛協定を結ぶ用意があります」

 ケッセルリンクは皮肉な顔で外務委員長を見つめる。
 少なくとも前任者よりは才能があるらしい。

「私の前にも似たような事をおっしゃったみたいですね。
 帝国のフェザーン侵攻は貴方の誇大妄想なのではと疑う意見もフェザーンでは耳にしているのですか?」

「むしろ今回の勝利で私は確信に変わりましたよ。
 帝国を持ってしてもイゼルローン要塞は簡単には抜けない。
 ならば、フェザーン回廊しかないでしょう?」

 外務委員長はケッセルリンクに幾つかのレポートを渡す。
 そこには帝国の国力上昇に伴う罠が記されていた。

「インフラの整備と艦隊の維持からみて、財政は没収した貴族財産に依存しきっています。
 帝国臣民が良き中間層になるほどには貴族財産は足りないし、産業の復興を邪魔しているのは我々です。
 我が国も貴国への借金を返さないといけないので、稼がないといけませんからな」

 高等教育を受けている層が圧倒的に多い同盟・フェザーン製品は、中間層になろうとする帝国臣民が喜ん
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