第十一話「決着をつけよう」
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仕方ないと割り切るには難しい事だったがフェイトの胸中は諦念に近いもので満たされていた。だが同時にこうも思った。この一件に決着をつけられるのは...プレシアを守れるのは...
(私しかいない...)
今一度強くそう思ってバルディッシュを握りしめた。その心が伝わったのかリオンは文庫本を閉じて立ち上がった。
「もういいのか?」
「うん、行こう。母さんの所へ。」
「そうかじゃあ...『フェイト』。」
一文字一文字確かめるように、リオンは名前を呼んだ。
「足は引っ張るなよ。」
「うん...!」
差し出された手を強く握って立ち上がり、光が部屋を満たした。
次の瞬間には、魔法少女『フェイト・テスタロッサ』が金の映える黒いバリアジャケットと得物を握りしめ、
「アルフ、お願い。」
「任せとくれよ、フェイト。リオンも。」
眼を瞑ると淀みないアルフの詠唱が響いた。
開けた時には、馴染み深い家具は消え...
「時の庭園...」
呟いて、フェイトはそのとてつもない重さを噛み締めた。
「怖気づいたか?」
「まさか...これは武者震いだよ。」
「そうか。」
そう言ってリオンはフェイトの肩に手を置いた。フェイトはにっこり笑って微笑み返した。少し気まずそうにリオンは顔を背けた後シャルティエを鞘から抜き放った。
「リオンさん?」
確かに母さんとは戦うけどまだ抜刀しなくても...
「よく見ろ、どうやら歓迎されてないらしい。」
「えっ...」
リオンがシャルティエの切っ先を向けた先を見ると、そこには時の庭園を守る傀儡兵や自動機械やらがわらわらと隊列を組んでいた。
まるでプレシアがフェイトを拒絶するみたいに。
「そんな顔をするな。」
リオンは軽く一閃した。
「体を温めるにはちょうどいい...くるぞ。」
その言葉と同時に自動人形一体の足から上がゴトリと落ちた。
結果を言えば、フェイトはその恐らく全部で50体はいただろうそいつらの内、アルフと合わせても5体しか自分の手で倒す事はできなかった。
「爪竜連牙斬!!」
その掛け声と共に腕から先がぼやけるほどの速さでの目にも止まらぬ連続攻撃が放たれ、空には自動機械の破片が吹雪の如く吹き乱れ色を満たし、空間を埋め尽くす。
その中にありながらリオンの剣術は抜群の輝きを...殺気に満ちながらそれでいて一種の芸術作品のような輝きを放っていた。
舞うように、踊るように、
その一挙動が今また機械を潰し、両断し...
シャルティエを鞘に収めたのと同時に、最後の一体が倒れた。
「ふぅ...片付いたか。」
「余裕でしたね、坊ちゃん。」
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