暁 〜小説投稿サイト〜
絶対将棋
絶対将棋
[2/7]

[1] [9] 最後 最初

「ふぅ」
 もう……といった感じで息を吐きインターホンを取りに行く。

「はい、どちら様でしょうか?」
「私ソフトオンデマンコリアのクーというものです」
 聞けばアダルトビデオ会社のようだ。
「けっこうです、お断りします」
「単刀直入に言います、将棋で勝てば1000万円、負ければAVデビューと言う話です」
 水樹はクーを中に入れた。

「変な気を起こさないでください、私、合気道免許皆伝なんです」
「もちろんもちろん、変な事なんかしませんよ、それにあなたが合気道免許皆伝なのも知っています」
 水樹はこの男が油断ならない男だと感じた。

「……と言った感じです」
「面白いですね、それで構いませんよ」
 クーの話はこうだ、水樹が5人と対局をする、全員に勝てば1000万円、1度でも負ければアダルトビデオ10本に出なければならない。

「そ、そうですか……いやぁ正直こんなに簡単に快諾していただけるとは思ってもいませんでした」
 水樹はクーを観察する、頭が切れそうだ、それに数々の修羅場も潜っている、そう洞察した。

 クーが帰って行った。
「そうだ、テレビ見なきゃ」
 今日は日曜日、将棋のテレビ対局がある日だ、画面ではすでに若手プロ棋士同士の対局が始まっていた、戦型は相矢倉だった。
「見る価値なし」
 テレビを消す、水樹は振り飛車党なのだ、プロ棋士は居飛車党が多くつまらないと思った。

 対局当日、場所はどこかのスタジオだった、すぐにでもAVの撮影ができそうだ、いや、すでにビデオカメラで撮影されていた。
 畳の上に将棋盤がおかれたセットがある、ここで対局するのだ、その隣も畳のセットだがこちらは布団が敷いてある、ここでAV撮影の絡みをさせるつもりだ。

「ふふ」
 水樹は可笑しくなった、これだけ必死に用意万端なのに自分には勝てないのだ、そして1000万円がもらえる。
 対局相手は女3人と男2人だ、水樹は知っている、女はみんな元女流棋士だ、男2人は知らない。

 ご丁寧に少し離れた所に将棋の大盤を置き、解説者と聞き手と思わしき者がスタンバっている。
「ビデオをご覧の皆さま、今日は美しすぎる将棋強豪の篠原水樹さんとソフトオンデマンコリアが放つ刺客5人との将棋対局です。篠原さんが5人に勝てば1000万円の賞金がもらえます、負ければAVデビューです」
 解説者の女がビデオカメラに向かって解説をしている。

 水樹が先に将棋盤の前の座布団に正座する。1人目の相手が後から座る。水樹はこの熟女を知っていた、元女流棋士の大場直子だ、A級棋士と不倫をして棋界を去った後AVデビューしていた。
「それでは時刻になりました、振り駒の結果先手は大場直子さんです」
 時計係が告げる。

 水樹と大場が一礼する、
[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ