ターン82 邪魔の化身とラスト・『D』(魔)
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如素っ頓狂な、この雰囲気には場違いなほどの大声が上がる。
「なにい、万丈目!お前、俺とのデュエルでずるしてたって言うのかよ!」
「十代……」
いつの間に下に降りてきていたのか、入場口のところから十代が走ってきた。当の万丈目はというとあのデュエルから一体どれだけ苦しんでいたのか、非難する十代と目を合わすことすらせず辛そうに顔を伏せる。
確かに当事者として思うところはあるだろうし、十代の言い分の方が正しいのもわかる。だけど、さすがにここで万丈目を責めるのはやりすぎじゃないか。お前本当におジャマ・イエローの話聞いてたのか……僕の送った非難の視線もどこ吹く風、デュエル場に上がって着ぐるみの襟をぐっとつかむ。
これ以上無茶するようなら、僕が止めに行こう。だがそう決意した矢先に十代の続けた言葉は、なんとも意外なものだった。
「それじゃあお前あのデュエル、わざと弱いふりをして……あれ?それってイカサマなのか?なあ?」
はいはいはい、そういうことね。十代からのパスを受け、すっとぼけたふりして僕も声を上げる。
「あのね十代、そんなのイカサマなんていう訳ないじゃん。ただまあ、まだ万丈目の本気ってやつをを僕らに見せてないのは間違いないけどさ。まさか、こんなところでこのデュエル中断するなんて言わないよね?」
言いながらさりげなく手を後ろに回し、後ろから睨みつけているであろう葵ちゃんにハンドサインを送る。やっぱり彼女の察しの良さはどんな時でも頼もしく、すぐに反応してくれた。
「それは困ります、もっとデュエルを魅せてくださいよ!」
その葵ちゃんの一声がトリガーとなって、会場のあちこちからデュエル続行を望む声が上がり始める。始めはまばらだったそれが次第に一体化し、やがて割れんばかりの万丈目、そしてエドに対してのコールへと変化していった。その中心で、万丈目の顔が次第に明るくなっていく。ばっと着ぐるみを投げ捨てると、いつもの黒服で統一された万丈目の姿がそこにはいた。
「いいだろう、もうこんなくだらん小細工は俺には必要ない」
『ああん、オイラの着ぐるみが〜!せっかく男前になってたのに、アニキったら!』
「待たせたな、エド!ここからが本番だ、デュエルを再開するぞ!」
「望むところだ、本物のプロとの格の違いを教えてやろう!」
「デュ、デュエル再開!視聴者の皆さん、デュエル再開です!おじゃ万丈目の姿を捨て、真の姿となった万丈目!果たしてどのようなデュエルが繰り広げられるというのでしょう、なんだか私まで興奮してまいりました!」
ついにおじゃ万丈目であることをやめた万丈目。再開したこのデュエルは、ちょうどエドのターンが始まる寸前だった。吹っ切れたような顔で笑う万丈目に笑みを返し、エドがカードを引く。
「僕のター
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