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ドリトル先生と春の花達
第二幕その三

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「風流っていうか」
「そうだね」
「そんな典雅なこともしていたんだ」
「日本ではね」
「戦の前に和歌を謡い合っていたんだ」
「そして謡うとね」
「謡う?」
「そう、謡ってね」
 そしてというのです。
「戦の場に出ていたんだ」
「武士の人達もだね」
「そうだよ、そうしたこともしていたしね」
「ううん、凄いね」
「本当に誰もがね」 
 それこそというのです。
「文字さえ書けて謡おうと思ったら」
「誰でもだね」
「和歌は謡っていいんだ」
「そういうものなんだ」
「それが和歌というものなんだ」
「垣根はないんだね」
「ないよ」
 それこそ一切というのです。
「そうしたものだよ、だから僕達もだよ」
「外国人でもだね」
「そしてはじめてでもね」 
 王子もというのです。
「謡っていいんだよ」
「謡いたいなら」
「そうしたものなんだ」
「成程ね、そんなものなんだ」
「だからはじめてでも胸を張って」
 恥ずかしがることなく、というのです。
「謡えばいいんだ」
「そういうものだね」
「そうだよ、それじゃあね」
「和歌会に出ようね」
「そうするよ、いやそんなものなんだね」
 王子は紅茶を飲みつつしみじみとした口調で先生に言いました。
「和歌は」
「そうだよ、本当にね」
「それじゃあ」
「楽しんで謡おうね」
「そうさせてもらうよ」 
 こうお話してです、そしてでした。
 王子はさらにです、先生にこんなこともお話しました。
「桜楽しみだね」
「あっ、王子もだね」
「桜楽しみなんだ」
 オシツオサレツが王子の言葉を聞いてぱっと明るくなりました。
「やっぱりね」
「日本の春は桜だよね」
「何だかんだで桜がないとね」
 ジップも言います。
「春じゃないね、日本は」
「和歌会も桜の前でするし」
「他に梅や桃もあるけれど」
 チープサイドの家族も彼等の間でお話をします。
「日本の春は桜だね」
「それがないと日本の春じゃないから」
「それで王子もだね」 
 チーチーは王子を見ています。
「桜が楽しみなんだね」
「確かに桜はいいね」
 ガブガブは目を細めさせています。
「特に満開だとね」
「あの色合いと咲き方がいいのよ」 
 ダブダブの目には桜が見えています、まだ咲いていないのに。
「桜は」
「そうなんだよね、見ていてね」
 ホワイティもその桜を見ています、これから咲くそのお花を見ることが楽しみで。
「うっとりするからね」
「王子が楽しみなのもわかるわ」
 ポリネシアは王子を見ています。
「私達もそうだし」
「僕達は和歌は謡えないけれど」
 それでもと言ったトートーでした。
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