第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
守鶴
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ガマブン太を素早く我愛羅と間合いを詰め、そして刀を突き立てた。我愛羅が何も反応できない内に、蛙の足を以って大きく飛び上がる。と同時に、我愛羅の右腕が空を舞う。
――すっげー……
着地と同時に何本もの木々をへし折る。地面に激突した我愛羅の右腕が砂の塊となって崩れ落ちる。陽光に煌きながらくるくると落下した刀が地面に突き刺さり、暴風を巻き上げる。
「あのさあのさ、ガマおやびん! あっちにサクラちゃんいるから、あっちいっちゃだめ! あいつをこっちに誘き寄せるんだ!」
〈サクラちゃん?〉
〈こいつのこれじゃ、オヤジ〉
ガマ吉がナルトの頭の上にしがみついたまま、小指を立てて見せた。ふん、とガマブン太が面白そうに笑ったその時――我愛羅がおぞましい笑い声を立てた。
「おもしろい――面白いぞうずまきナルトォオオオ!」
その巨大な体躯の眉間の間から、我愛羅の姿が現れ、そして何かの特殊な印を組んだ。あれが霊媒か、とガマブン太が呟く。守鶴の人柱力となったものの例に漏れず、不眠症に陥り、精神的に不安定になっていったのを伺わせる隈の深い目元と、その目の奥の狂気。
霊媒が起きている間、守鶴はその本来の力を発揮できない。
〈じゃけど……あの霊媒が眠りに入ったら〉
――狸寝入りの術!
かくん、と我愛羅の体が力を失った。そして巨大な化け物の目の奥で、新たな光が閃いた。
〈やりおったか……!〉
「ど、どうなるんだってばよ、おやびん……!」
〈狸寝入りの術が発動したら……守鶴が出てくる〉
きらきらと守鶴の目が輝く。狂気一色の声が青空に響いた。
〈ヒャッハァアアアァァァアア!! やっとでてこれたぜええええええぃいいい!!〉
ひどく醜悪な笑い声は見事に狂気一色だった。以外とファンキーじゃのう、とガマ吉が呟く。その呟きを聞いたか聞かなかったのか、守鶴がこちらを振り返った。嬉しそうに、ひどく嬉しそうに、笑う。
〈いきなり! ブチ殺したいやつはっけーん! 風遁・練空弾――ん!!〉
〈水遁・鉄砲玉!〉
守鶴が狸らしく巨大な腹を叩くのと同時に、圧縮された風の塊を放った。パイプを投げ捨てたガマブン太が飛び上がり、玉状の水を口から放つ。ぶつかり合った風と水は嵐を生み、ざあああっと森に雨が降り注ぐ。
「なんて戦いしてやがる……っ」
雨に打たれながら、サスケは思わず呟いた。自分の想像の次元を遥かに超えたこの戦いに、目を瞠るしかない。
「おやびん、こっちは駄目だってッ」
〈わかっとるわいっ〉
森の中の桜色を見つけたナルトが叫び、苛立たしげに返しながらガマブン太が飛び上がった。更に三発の練空弾に、鉄砲玉を二発放つ。
尾獣が得意とする「尾獣玉」を使ってこないあたり
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