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とある3年4組の卑怯者
39 追行(ストーキング)
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今日あの本持って来い!」
「う・・・、それより笹山さんが渡した雑誌はどうしたの?」
「あ!?んなもん捨てたに決まってんだろ!」
「そんな、酷い!」
「あ!?ひでえのはテメエだろ!!」
 その時、藤木が再びリリィが絡まれているのを目撃した。
(あの上級生たち・・・またリリィをいじめているのか!!)
 藤木は思わず叫ぶ。
「い・・・、いい加減にしろ!!」
「あ!?またオメエか!!引っ込んでろ!!」
(う・・・、こうなったら逃げるしかないな・・・、リリィ、ごめん・・・)
 藤木は走り出したと思ったらリリィの手を掴み、音楽室へ逃げた。
「おい、逃げんじゃねえよ!卑怯だな!!」
「藤木君!?」
「ここは逃げるんだ!!」
 二人は音楽室へ逃げ込んだ。上級生たちは追ってはこなくなった。
「はあ、はあ、もう大丈夫だよ・・・」
「うん、ごめんね、藤木君まで巻き込んで・・・」
「いや、そんなことないさ!」
 藤木はリリィに気を使わせまいと笑って誤魔化した。

 リリィと笹山は共に下校していた。
「笹山さんが買った雑誌捨てられちゃったって。ごめんね。藤木君もお金出してくれるっていってたからやっぱり弁償するわ」
「え・・・?藤木君が・・・。でもやっぱり悪いわ」
 笹山は藤木も気にしてくれていることに恩を感じたが、申し訳ない気もした。
 曲がり角を曲がろうとした途端、上級生たちが待ち伏せしたかのように現れ、立ち塞がった。
「おい、オメエら!」
「う・・・、お願いだから、もういい加減にしてください・・・」
 リリィが怖がりながら懇願した。その時片方の女子が笹山の腕を掴み、笹山が「キャッ!」と悲鳴を挙げた。
「あの本面白かったか?」
「え、ええ・・・」
「なら今すぐ持って来いよ。茉友たちも読みたいからさ」
「読みたきゃ、自分で買えばいいじゃないですか」
「うるせえ!茉友たちは小遣い使っちまったから立ち読みするしかなかったんだよ!」
「じゃあ、入荷するまで待てばいいじゃないですか」
「嫌だね!オメエが持ってんならそれを貰うよ。それなら立ち読みする必要ねえからよ」
「オ、いいじゃん、理子ものんびり読みてえな!おい、今すぐ『広島まちめぐり』を持って来い!向こうの神社で待ってるからよ!それまでこいつは預かるぜ!」
「え・・・、そんな、今日ピアノのお稽古あるから許して・・・!」
 笹山は解放を求めた。
「んなこと知ったこっちゃねえよ!」
 リリィは窮地に立たされた。
「わ、分かったわ。持ってきます・・・」
「あ、そうそう、このこと他の奴に行ったらこいつどうなっても知らねえからな!」
 上級生は脅迫した。リリィは折角手に入れた本を手放さなきゃならいことに苦しい思いで走った。
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