39 追行(ストーキング)
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笹山はリリィの手を取り、急に走り出した。リリィは笹山が自分が折角手に入れた雑誌を差し出た事に文句を言う。
「笹山さん、酷いわよ、折角買ったのに・・・」
「いいから、リリィさんの家はどこ?」
「えっと・・・」
リリィは笹山に自分の家の順路を教えた。その時、後ろから目当ての本を貰ったはずの女子がなぜか追いかけてきた。やや遠回りしながら、何とか巻いてリリィの家にたどり着いた。
「はあ、はあ、笹山さん、酷いわ・・・。折角買ったのに・・・、どうして裏切るようなことするの・・・・?!」
リリィは怒っていた。
「はあ、はあ、大丈夫よ・・・。はい・・・、中を見て・・・」
「・・・え?」
笹山はリリィに紙袋を差し出した。リリィが空けると中には渡したはずのリリィが買った本『広島まちめぐり』だった。
「え?じゃあ、さっき渡したのは・・・?」
「ええ、あの時すり替えたの」
笹山はリリィの手から紙袋をひったくった時、紙袋を入れ替えて自分が買ったものを犠牲にしたのだった。
「そうだったの・・・、ごめんなさい、疑って・・・、それに笹山さんが買った雑誌を手放す事になって・・・、弁償するわ」
リリィは自分のために犠牲になった笹山に済まなく思った。
「いいのよ。持っている友達に見せてもらうわ」
「うん・・・、お礼に家に上がって。お詫びにお茶やクッキーご馳走するわ」
「え?いいの?」
「ええ、あの人たちもうろついているかもしれないし・・・」
「そうね・・・」
こうして笹山はリリィの家で紅茶やクッキー、ケーキを食べる事になった。
夕方になり、笹山は帰宅する事になった。自分が楽しみにしていた雑誌をクラスメイトのために仕方なく手放す事になってしまうとは、やや悲しかった。
翌日、リリィは学校に着いた途端、後ろから誰かに怒鳴られた。
「おい、そこの外人!!」
リリィは嫌な気がして振り向いた。昨日の二人組の上級生の女子だった。
「昨日はよくも騙してくれたな!」
「あ、・・・う・・・」
「ふざけんじゃねえぞ、オラ!」
昨日茉友と呼ばれていた女子がリリィの服の襟を掴む。リリィは何も言えずに凍りつく。
藤木が校門に入ると、一つの光景を目にした。リリィが上級生に掴みかかられていた。
(リ、リリィがいじめられている・・・?)
藤木は慌てた。面倒だと思い、そのまま見て見ぬふりして行くのは卑怯でリリィに悪いと思った。だが、自分で追い払えるのか不安だった。
(卑怯なことはしたくない・・・!助けなきゃ!!)
藤木は決心した。
「や、やめろ!!」
藤木は叫んだ。リリィと二人組の上級生が藤木の方を向く。
「あ、何だてめえは?」
昨日理子と名乗っていた上級生が聞いた。
「僕はその子のクラスメイトだ!頼むから放し
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