第3話 ウルトラマンと少年
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し事なんて、ダメだよな。お前には話しておくよ』
――やがてカイナは、観念したように自身が地球に訪れた経緯を語り始める。
過去に地球にやって来た歴代ウルトラマンと同様、カイナもM78星雲にある「光の国」の出身だった。
両親を怪獣との戦いで失って以来、彼は大切なものを守れる強さを求めて宇宙警備隊の門を叩いたのだが――若過ぎることを理由に、入隊を拒否されてしまったのである。
そこで、宇宙を彷徨う怪獣を退治して武勲を上げ、自分の力を宇宙警備隊に照明しようと決めた。例え年若い身であろうと、実力があると見せつければ警備隊も自分を放ってはおかない――そう考えたのである。
だが、結果としては惨敗。怪獣を倒せなかったばかりか、力任せに戦うあまりエネルギーを無駄に消耗し、地球人の体を借りて命拾いする始末。
武勲どころか地球の民に迷惑を掛けてしまい、意気消沈……といったところなのだ。
「……」
『……ってわけだ。へへ、情けねぇよな……。何が警備隊も俺を放っておかない、だ。とんだウルトラマンがいたもんだぜ』
弓弦は、最後にそう言って自虐的に笑うカイナの話を、真摯に聞き続けていた。
――重ねていたからだ。父を失い、戦う理由を見失った自分を。
『死んだ親父もお袋も、俺の醜態を見て笑ってるだろうな。……なーにが、地球を守る……だ。笑えるぜ』
「……笑ってない。誰も、君を笑ってなんかいない」
『ユズル……?』
「笑わせてたまるかよ。そんなの!」
やがて弓弦は、意を決したように立ち上がる。その眼は、手元のカイナカプセルを映していた。
(オレは、父さんと一緒に戦うのが夢で……その夢が叶わなくなった途端、何もかも投げ捨てた。あの時、とっさに体が動いてしまうくらい……未練があったのに!)
自分と同じ、家族を失う苦しみを味わっていながら。それでもなお、前を向こうとしていたカイナ。
そんな彼の心を、ここで折ってはならない――その想いに駆り立てられ、弓弦はカプセルを握り締める。
(オレは、叶わない夢に背を向けて逃げた。でも、カイナは違う。カイナは例え両親を失っても、若さが理由で入隊できなくても、諦めずここまで突き進んで来た! そんな彼が、笑われていいわけがない!)
そして、尻尾を引き抜きBURK隊員達を圧倒する、恐竜戦車に鋭い眼差しを向けて。
(オレが……絶対に笑わせない!)
かつて胸を滾らせていた、情熱を思い出すように。その戦場を目指して、走り出していた。
「カイナ。エネルギーの全快まで、あとどれくらい掛かる?」
『え!? あ、あと少しだけど……まさかユズル、戦うつもりなのか!?』
「あぁ。君は絶対、オレが笑わせない。君がまだウルトラマンじゃないって言うのなら、オレがそこ
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