第11話 飛鳥竜士の過去
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よ! 誰が何と言っても、私が義兄さんを許してあげる! 愛してあげるっ! だからっ……帰ろうよ! また、一緒に暮らそうよ!」
「……ありがとうございます、かりんさん。そのお気持ちだけで、私はもう――」
「――それで終わりにしないでよッ! 義兄さんが帰ってきてくれるなら、私なんでもする! 子供が欲しいなら、私が何人でも産むから!」
リュウジの手に、自らの白い掌を乗せて。かりんは過激な発言も辞さず、彼を引きとめようとする。
――その時。事態をある程度静観していたアーマンドが、かりんをジロリと睨みあげた。
「……おい、いい加減にしとけ乳牛女。こいつがイヤっつってんのが聞こえなかったか?」
その眼差しを受けたかりんは――再び冷酷な表情に戻ると、冷ややかな視線でアーマンドを見下ろす。
「――なに? 大した実力もない外野が口を挟むつもり?」
「家族水入らず、って時に首を突っ込むのは避けるつもりだったんだがな。アスカは、自分の意思でここに残るって言ってんだぞ? 俺みたいな『大した実力もない外野』をほっとけねぇってな」
「自分達の弱さを理由に義兄さんに縋るなんて、つくづく救いようのないクズね」
「てめぇらは自分達の都合で、アスカを振り回してんだろうが。今度鏡見てみろよ、俺以上のクズが映ってるぜ?」
「貴様……」
今すぐ殺すべき仇敵を見る眼で、かりんはアーマンドを睨みつける。そして、冷酷な怒りを胸に宿したまま、腰の拳銃に手を伸ばし――
「アーマンドの言葉は悪いけど――私も同じ意見よ、カリンさん。リュウジがここに居たいって言う限り、私達は彼を渡すわけには行かないの」
――引き抜く寸前、その手をフィリダに止められてしまう。
凍てつくような眼光を浴びても、決して引き下がらない彼女の手を振り払ったかりんは、忌々しげに彼女を睨みつける。
「……盗っ人猛々しい、とはこのことね。義兄さんを誑かしておいて、渡すわけには行かない? 笑わせるわ」
「カノンさんには、申し訳ないと思ってる。自分が酷い女だっていうことも、わかってる。それでも――今のリュウジが願っていることを、私は叶えてあげたいの」
「……ふぅん。ただのお姫様じゃあ、ないのね」
毅然とした表情で自分と向き合うフィリダを睨み、かりんは僅かに逡巡するように顎に手を当て――意を決したように顔を上げる。
「――だったら。私が納得できる方法で、義兄さんがここに相応しいってことを証明してちょうだい。『白金の姫君』と、副司令の娘。どちらが強く、正しいか」
「……わかったわ。それで、あなたが納得してくれるなら」
2人は互いに真剣な面持ちで、リュウジを巡る決闘に身を投じる決意を固める。
「フィリダさん……」
「全く……かりんの決闘癖には困ったも
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